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ようこそ。(最新作「お祝いのお菓子」連載中です。

このサイトでは、ファンタジーとメルヘンの、あいのこのような物語を綴っています。
具体的には、解呪のために旅する一行(お姫さま、王子さま、その友人たち)の、現在と過去のエピソードを交ぜ織っています。

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お祝いのお菓子(01)

「ねえ、セレン?」
 青い髪の姫君が、何か言いたそうに近づいて来るのを見て、セレンは、あれ、と思った。というのも、近くに金髪の王子がいないのを確かめるように、周りを窺がいながら近づいて来るその様子が、セレンの知っている宮廷の花たちの、「王子殿下はどのような女性を好ましく思われるのでしょう」という質問を思い起こさせたからだ。あるいは城下に住む女の子たちの、「ルークって、どんな子が好み?」という、聞き飽きるくらい聞かされた台詞を。
 しかし、その手の話題に疎そうなフィリシアが、本当にそんなことを尋ねるだろうか。いや、もしも聞かれるようなことがあったら、フィリシアのためだけでなく、似た者同士の恋愛音痴な王子様のためにも、「君のようなひとに心惹かれると思うよ」と、直球で答えてあげるけれども。
 などと内心で思いつつ、セレンはいつもと同じ微笑みで、優しく応じた。
「どうしたの、フィリシア」
「あのね、フルートのいないうちに、内緒で聞かせて」
 姫君は、ひそひそと言う。セレンはうなずいて、
「いいよ、なんでも話してあげる。どんなこと?」
「あのね・・・私の記憶がまちがっていなければ、もうすぐフルートの誕生日だと思うの」
 フィリシアは、心もとなそうにセレンを見上げている。ああ、そういうことか。セレンが得心しながら、「そうだね」と肯定すると、フィリシアははにかんだ笑顔になった。
「それでね、何をあげたら喜んでもらえるか、助言をいただける? よく考えたら、私、年の近い男のひとに個人的な贈りものをしたことがなくて、見当もつかないの」
 それはフルートのために喜ばしい知らせだ、と思いつつ、セレンはにっこりと答える。
「君の唇がいいと思うよ」
 フィリシアは目を大きくして、うっすら赤くなった。
「もう、ふざけないで。私、まじめに聞いているのに」
「ふふ、ごめんね」
 まじめに答えたのだけれど。まあ仕方ないか。
「そうだね、前に焼いてくれたケーキはどう? 喜ぶと思うよ、彼」
「そう? それなら、何か特別な感じのケーキを・・・うーん、特別な・・・特別な・・・」
 フィリシアは、しばらく考えたあと、何かひらめいたのだろう、ぱあっと顔を輝かせた。
「いいことを思いついた!」
「いいことって?」
「あのね」
 言いかけて、はっとしたように、手で口をおさえた。きらきらする青い目で、
「ないしょ! ありがとう、セレン!」
 そう言って、ぱたぱたと駆けて行ってしまう。何を思いついたのだろう。セレンが行方を見ていると、ゼラルドのほうに駆け寄って行くようだ。ゼラルドには内緒にしないのか・・・。

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