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  • (2017/9/20夜)元気が足りないまま、急に忙しくなってしまいました。続きの展開は決まってるのに、書く時間がなくて悲しい…。

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具体的には、解呪のために旅する一行(お姫さま、王子さま、その友人たち)の、現在と過去のエピソードを交ぜ織っています。

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軽薄な石像(01)

 草ぼうぼうの荒れ野の中に、かろうじて道とわかる程度の頼りなさで、細い線が伸びている。夏の太陽の照り付ける下を、陽光色の髪をした若者と、青い豊かな髪の娘が、馬に乗って進んでいる。
 娘のほうは、大きな麦わら帽子をかぶっているけれど、うつむきがちで、元気がないようだ。若者のほうも、それに気づいているらしく、ときどき案じるように振り返ったり、休む場所を探すように辺りを見回したりしているが、あいにく適当な場所を見つけることができないでいる。
 ・・・いや。道の先のほうに、ようやく、小さな木陰と、石のベンチらしきものが見えて来た。白っぽい人影が二人、腰をかけているようだが、席をつめてもらうか、譲ってもらうかして、フィリシアだけでも馬から降ろして休ませてやることができたら。
 さらに馬を進めて、石のベンチの近くまで来ると、なんと、ベンチに座っている二人は石像だった。昔の石工が演劇の一場面でも彫ったものだろうか、風雨にさらされた石像たちは、古風な服装の若い男女をかたどったものだ。女のほうはベンチの端で、振り返って何かに気を取られている様子。隣にいる男のほうは、女の片手を押しいただいて、その指にキスをしている。そのさらに隣に、ようやく人ひとり座れる場所があり、フルートはフィリシアを馬から降ろし、石が熱くなっていないことを確認したうえで、そこに座らせた。フィリシアは、ぐったりと石像に寄り掛かった。
 フルートは、フィリシアの荷物から、ぬるくなった水を取り出して渡してやった。フィリシアが少しずつ飲んでいる間に、さらに周りを見回してみると、ちょうど、石像の女が振り返って気を取られている方角に、井戸らしきものが見える。あの井戸は生きているだろうか。もしそうなら、少しは冷たい水が汲めるだろうか。
 あたりには、見渡す限り、人の気配も、獣の気配も、魔物の気配もない。すぐに戻るから休んでいるように、とフィリシアに言い聞かせて、フルートは井戸のほうに向かった。

 さて、フィリシアが、石像にもたれかかって、ぬるい水を飲みながら、ぼんやりとフルートを待っていると、かすれた小さな声が、何か言ったような気がした。フィリシアは少し体を起こしたが、風が草を揺らす音を聞き違えたのだろうと思って、また石像にもたれた。石像の形が、いくらか変わったような気もしたが、気のせいだろうと思った。
 再び、ひそひそと声がした。今度は、言葉が聞き取れるくらいの大きさだった。
「お嬢さん、驚かないでくださいね」
 ゆっくりと石像が動きだしたので、姫君は驚いて体を離し、まじまじと石像の男を見つめた。白い石像は、目の前で薄く色づきながらフィリシアのほうを振り返り、髪はうっすら栗色の巻き毛、気取った形の羽つき帽子と、ゆったりしたローブはうっすら朱色。フィリシアと向き合うと、石像の瞳は明るい茶色になり、じっとフィリシアの目を見つめながら、言葉を続けた。
「隣に美しい女性が座ってくださるときだけ、わずかな間、動くことができるのです」

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