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ゆがんだ城(06)

 女は呆然となった。うわごとのように、
「ルインドゥーラ・・・そんなばかな。しかも・・・ルーズヴェルン? それではウェルザリーンの王子!」
 ぶつぶつと言いながら、ゆらゆらと首を振った。
「ウェルザリーンの王子がなぜここに・・・。なるほど、ウェルザリーンの王子なら、血とキルケと葡萄酒の区別くらい、見るだけでできるでしょうね」
 ゼラルドはそれにはとりあわず、広い場所へと移動しながら、
「動くのではないよ、セレン。その青い壁から出たら、どうなろうと知らない」
「・・・わかった」
 セレンは言った。彼は、自分が今、ただの足手まといであることを知っていた。
 気を取り直した女が、つ、と動いた。青い剣がその手にひらめいて、黒髪の若者の上に斬りかかってくる。ゼラルドは黄金の長剣を抜いてそれを受け止めた。女は驚きの声をあげた。
「黄金は太陽神の力を受けるはず。なぜこの剣は、月の女神の力を支援できるの」
 ぎらぎらと、青い剣の光が強まった。黄金の剣は、今にも溶けるか折れるかしてしまいそうに見える。しかし、ゼラルドは、故郷の海から贈られた剣の力を信じていた。太陽の力も月の力も受けることができる類まれな宝剣だ。
 部屋の中では、様々な変化が起こっていた。いろいろな物、たとえば本やナイフやグラスなどは、宙に飛び、半分に分かれて、一方はその主人の、一方はその美しい客の、それぞれ隙を狙って待ちかまえていた。部屋の空気は赤黒く淀んでおり、対決する二人の体は、瘴気から身を守るための淡い銀色の光に包まれていた。剣と剣のぶつかる音が辺りに響き渡る。
 一方、セレンのほうは、動くなと言われた部屋の隅で、息をつめ、しかし苛立ちながら、目の前の光景を見守っていた。彼は薄青い光の壁の中で、すっかり正気を取り戻していた。自分にできることが何もないのが悔しい。だが実際、携えている剣ひとつ取っても、先日の事件で失ってしまった剣の代わり、ただのお飾りの、抜けない剣なのだ――
 そのとき、女の声が高らかに響き渡った。
「わかったわ、これは古代レティカ王国の宝剣! あらゆる聖者と魔法使いが、魂とひきかえにしてでも欲しがっている、世界に散らばった13本のうちの一本なのね!」
 同時に、セレンは自分の剣を手に、驚きの声をあげていた。
「なぜ・・・この剣が抜けるなんて!」
 幼いころに手に入れたその剣は、抜けない剣だった。時が来れば抜ける気がして今回の旅に持参し、使っていたほうの剣が失われたため形ばかり身に着けていたその剣は、今、なにげなく手をかけただけで刃をあらわし、重みを得てセレンの手の中にあった。 

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