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ゆがんだ城(08)

 ゼラルドは、短剣に手をかざし、何か唱えて清めていた。そして、それが済むと、セレンにまっすぐ向かい合って立った。長身のセレンを見上げるようにして、言った。
「セレン、手を見せてくれないか」
 セレンは片手を前に出した。白く細い、女性のような手。ゼラルドは静かに言い足した。
「さきほどぼくに剣を投げた手を。君の利き手は右のはずだ」
「・・・どうして」
「どのような怪我でも驚きはしない。剣を投げたら、手は結界の外に出たはずだ」
 セレンは目を伏せて、右手を出した。剣を投げたとき瘴気に触れたその手は、火で焼かれたように激しく爛れていた。
「・・・」
 ゼラルドは何も言わず、そっと、セレンの手を自分の手の上に受けた。セレンはびくりとして目をあげた。ゼラルドは人との接触を嫌っていて、こんなふうに他人に触れることは珍しかったのだ。
 手を引こうとするセレンの手首を、ゼラルドの手が素早くとらえた。その力があまりにも弱いので、かえってセレンは手を引けなくなった。表には出さないが、ゼラルドは疲れ切っているのだった。
「セレン。少しの間だけ、がまんしてくれ」
「え?・・・痛っ」
 ゼラルドは左手でセレンをつかまえたまま、聖句を唱え、右手をそっとセレンの手の上に重ねた。セレンは激しい痛みに悲鳴をこらえた。
 しばらくしてゼラルドが右手を外したとき、セレンは目を見張った。ゼラルドの手の上にあったのは、白い無傷の彼の手で、忌まわしい傷は影もとどめていなかった。
「もういいよ、セレン」
 言われて手を引くと、ふらりとゼラルドの足元がぐらついた。
「ゼラルド、大丈夫か? その・・・ありがとう」
「剣を投げてもらった礼だ。今後は何かあっても治しなどしない」
 ゼラルドはセレンに心配などされたくはなかったし、礼を言われたくもなかった。セレンのほうも、ゼラルドの心配などしたくなかったし、礼を言いたくもなかった。二人はそれぞれ、うっかり相手を気遣ったことを悔いた。
「では、行こう」
 ゼラルドは、無愛想に言った。
「早く君をフルートに引き渡さないと、ぼくの体がもたない。なぜ、君などが彼の友人なのだろう」
「一緒に来いと言ったのは君だろう? 本当なら、ぼくもミイスに行くはずだったのに」
 そして二人はいつものように言い争いながら、ゆがんだ城のあった場所から離れ、平和な日常の中へと帰って行ったのだった。

(完) 

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コメント

月路さま
読み進むうち 我を忘れて
濃密な長編の世界に彷徨い込んだようです。
人の心のふとした闇を 歪んだ鏡は写し取り
魔の世界へ誘い込むのかもしれませんね。
人の弱さ、たくましさは
いつも 背中合わせですconfident 
私も、セレンとゼラルドの後を うんと離れて着いていきますchick

montiさま、
コメントありがとうございます♪

初期の作品ゆえ、言葉の過不足が多いところを、お読みいただきありがとうございます。
「一人でいる」人も、「一人ではない」人も、それぞれの強さと弱さがあるのですよね。
そんなことを思いつつ、不器用なりに、光あるほうへ歩いて行きたいと思っています。

こんにちは
一気に読んでしまいました。
ぜラルドがカッコ良くてツボに入ってしまったみたいです(笑)
自分も世界に入り込んでいくような感覚を覚える文章で、
ずっとわくわくしながら読んでましたhappy01
また、足手まといになると自覚しながらも、
突破口を開くセレンの行動に「おお」と思いました。
まだまだお話は続いているようなので、
楽しく拝見させていただきます~!note

凩さん、
コメントありがとうございます♪

一気に読んでいただけたとは、本当に嬉しいです!happy01shine
「金の砂の塔」とは、長さも雰囲気も違うお話なので、
こういうのは読んでいただけるかな…、って、心配していました。

旅をしている現在を語る本編と、主に過去を語る番外編とを、
織り交ぜながら進行していく物語です。
これからも、気の向いたときにお立ち寄りくださいませheart04

月路さん今日は〜。

闇を纏うぬばたまの髪の貴公子ルインドゥーラ・ゼルの活躍
バトル好きな私は、剣と魔法の織りなす
ゼルと魔女やクリーチャーメインの回は毎回とても楽しみで
ゆがんだ城は一番好きな、お気に入りのお話の一つです。

ホシノさんのコメントで改訂版には魔女の名前が『ウェドリタ』に命名されたのかな?と当たりをつけ再読してみました。

以前は古風な髪をゆって黒いヴェールをしていたような
魔女の出で立ちは記憶違いか、それとも修正されたのかなぁ…


レティカの宝剣 13本中4本しか作中登場せずとは
二回程、構想お聞きしてますが、細かい謂れが無くても
闇姫マジックウォーズ最終決戦で何かのフラグで
残り9本一挙に揃って登場、13本フルコンプリートで真の力開放的なセットアイテムフリーク好きの願望はあります。

不幸の娘の汚染で呪われ歪んでしまったけど
もとは従順な女神の下僕で、高位の月の聖者
被害者の魔女ウェドリタ。
聖札により、ミイスに行くはずのセレンを伴い聖者の勤めの退魔行を果たすゼル。
(器や媒介依り代としてのセレン評価は、態度や言動裏腹に序盤から高しw)
亡者とともに結果的にウェドリタも呪縛から救われ良かったです。

ではまた

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

なんと、「ゆがんだ城」がお気に入りの方が、いらしたのですね!
あらかじめ知っていたら改稿をさぼったかもしれないので、知らなくてよかったかもしれません。
主に、読みづらい箇所を大量に直しました。セレンがお荷物なのは直せませんでしたcoldsweats01

ウェドリタは、名前を少し変えたほかには、台詞を読みやすくするために書き改めました。
いでたちなどは変わっておらず、古風に結った髪の上に、ヴェールはかぶっておりませんが、お好みでかぶせていただいても、もちろん全然かまいません♪

宝剣が13本揃うと何が起こるかというとですね…、「光り姫」に書いたのでネタバレには当たらないと思うので書いちゃいますが、「ミルガレーテが人間の身に戻る」のです。
強引に揃えるべきかどうか、すごく、すごーく悩んでいますが、たぶん揃えないだろうと思います。仮に揃えるとしたら、「異説」かなあと思います。

セレンとゼラルドのペアは、時系列としては、「赤い小鳥の姫君」→「見えない守り手」→「ゆがんだ城」→「竜王の館(前編)」と進む順番です。なので、ミイスまで別行動になった理由は、ふふふ。

いつも丁寧なご感想をいただいて、とても嬉しく思っています。
どうもありがとうございます!happy01shine

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