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(海辺にて)(01)

 王妃ロザリアの処刑がおこなわれたのは、悲しいほど空の青い日だった。閉じ込められていた塔から手をひかれて出て来た王妃の黒髪に、日の光はもつれてきらめいた。
 日差しはあまり強くない。聖なる国は、まだ冬だった。
「ああ・・・なんてきれいな空!」
 王妃はまぶしそうに空を見上げて微笑んだ。その明るい、はかなげな微笑に、侍女たちはみな胸をしめつけられた。
「王妃さま・・・」
 ともすれば途切れがちになる声を励まして、
「王妃さま。これから半時間は、どうぞご自由になさってくださいまし。それから」
 処刑場へ、とは、誰も言えなかった。王妃は侍女たちの泣きはらした赤い目に、にっこりと笑いかけて見せた。
「そうね・・・わかっています。王子は?」
「今、お連れいたします」
 冬の終わり。冷たい潮風が横をすぎる。一か月の間幽閉されていたため、青白い肌をしてはいたが、そしてまた、つややかな髪は結われても編まれてもいなかったが、それでも、そうやって立っているだけで、≪太陽の王妃≫として慕われてきた王妃は、際立って美しく見えた。
「王妃さま、お連れいたしました」
 やがて、王子を連れた侍女が戻って来る。ただ一人の王子は、まだ幼い。
「ありがとう、お下がり」
 王妃は駆け寄って来た息子に笑いかけ、その手を引いて、海岸のほうへ歩き始めた。
「かあさま、海へ行くの?」
 黒い瞳をきらきらさせて、王子は無邪気に尋ねた。
「そうよ、ゼラルド。かあさまのいない間、何をしていました?」
「なんにも。かあさまがいらっしゃらなくて淋しかった。かあさまのことを話そうとすると、みんな黙ってしまうの」
 そんなに長いこと母親と引き離されていることが、何を意味しているのか、まだ幼い王子にはわからなかったのだ。王妃は悲しく微笑した――王子はあまり感情を外に表さない子どもだったが、その子が母との再会をとても喜んでいることがわかったのだ。
 王妃は黙って海岸に降り立った。王子はやっと母から海へと目を移し、とたん、砂浜に立ちつくした。

 

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