2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ひとこと通信欄

  • (2017/10/15夜)ご心配おかけして申し訳ありません。疲れて色々おっくうになっていますが、ごはんと睡眠はちゃんとしていますので、ご安心ください。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 作者より:(妖精の首飾り) | トップページ | (夏の訪れ)(02) »

(夏の訪れ)(01)

「セレンさまあ。セレンさまあ。どこにおいでですかあ――」
 遠くに聞こえる呼び声に、少年は眉をしかめた。とても綺麗な少年で、背中まである長い金髪が日の光にきらめいているのが、まるで森の中の妖精のように見える。
 年のころは十ばかり。瞳は深い緑色。
(どうしようか)
 ほっそりとした体に、うすい緑色の服を着て、妖精は少し思案した。春が終わり、そろそろ暑くなり始める時期だったが、森はひんやりと心地よく、この珍しい小さな客を迎え入れていた。
(まあ、いいか。なんだか一人で散歩したい気分だから)
 少年は長い金髪をもてあそび、歩き出す。
 決して、明るいといえる表情ではない。何かを思いつめながら、瞳だけが夢を追っている、そんな雰囲気の少年だった。
 このリーデベルク国で最も王家に近い血を持つ、ディア家。それが、少年の家だった。彼の生母は、彼がまだ幼いころに病でこの世を去り、そのせいで、彼の日常生活には影が差すことになった。
 父は、政務で忙しかったため、息子のためを思い、ほどなく再婚した。新しい母は、真面目で賢かったが、家柄で前妻に引け目を感じていた。「この子を立派に育てなければならない、前の方よりも」という思いが、若い母親を常に追い立てた。
 義母は、セレンを立派な後継者とすることに心を砕いた。たくさんの教師を集め、朝から晩まで時間割を組んだ。そこに遊びやゆとりはなく・・・幼い子どもは自由を奪われた。来る日も、来る日も、きっちりと組み上げられた計画が、確実に消化されていった。明るく、素直で、よく笑っていた子どもの顔からは、日ごとに微笑みが消えていった。
 数年の年月が流れ去った今では、屋敷でのセレンの評判は、冷たく無感動な少年だとして一致していた。最初は同情的だった者も、少年の心がだんだんと閉じ、その氷のような視線が自分に向けられるようになると、そっぽを向いた。
 少年は、亡き母から受け継いだ豊かな想像力と、幼い時に覚えたたくさんのおとぎ話を支えにして、今にも崩れそうな生活の均衡を保って生きていたが、それを知る者はなく。少年は広大な屋敷の中で、大勢に囲まれて、ひとりぼっちだった。

 

人気ブログランキングへ

« 作者より:(妖精の首飾り) | トップページ | (夏の訪れ)(02) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/50395591

この記事へのトラックバック一覧です: (夏の訪れ)(01):

« 作者より:(妖精の首飾り) | トップページ | (夏の訪れ)(02) »