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  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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(夏の訪れ)(03)

 いつものセレンなら、同じ年頃の少年に興味などなく、自らも名乗ることなく、黙って立ち去っていただろう。けれども、常にない状況のもとで、目の前の少年は特別な存在に見えた。セレンは言葉を失ってしまった。
 ルークは、そんな彼を、いぶかしむように見ている。セレンは困り、ようやくのことで、
「あの・・・名前、言わなければいけない?」
と言った。
「その・・・あの、名前、言っていいかどうか、わからなくて」
 うつむき加減に、懸命に言葉を探す。自分の言葉のつたなさを情けなく思いながら、そっと相手の顔をうかがうと、美しい少年はきょとんとした顔をしていた。そうして、こちらも迷うようにしながら口を開き、
「ええと、もし、君が。何かの理由で、名前を告げられないのなら。それでも、いいよ。ぼくも、仲間みたいなものだと思うから」
 彼は明るい目をセレンに向けた。
「でも、そうしたら、ぼくは君のこと、何て呼べばいいんだろう? 月光くん、とか?ほら、きれいな月の色の髪をしているから」
 少しふざけて、ルークは言った。青い目がくるくると輝いた。セレンはほっとして、それから、家の名を出さなければよいのだと気づいて、
「セレン、と呼んでくれる?」
「わかったよ、セレン」
 ルークは即座に応じた。それから、仔馬を木につないで、そばの草の上に、すとんと足を投げ出した。
 セレンは自分の服を見た。汚して帰ったら何か言われるだろうな、と思いつつ、ルークの隣に、少し離れて、そっと腰を下ろす。
 ルークはセレンを見て、あることに気づいていた。
「でもセレン、君が名乗らないのは、もしかして、その肩の印のせい?」
 セレンは思わず身を固くした。貴族の服には、左肩に金色の線が織り込まれるのが、この国の習わしである。セレンの白い手が、服の肩を隠した。

 

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