2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« (海辺にて)(04) | トップページ | 作者より:(海辺にて) »

(海辺にて)(05)

「さあ、早く教えて! かあさまをどこへ連れて行くの?」
 誇り高い幼い王子の目が、やがてうるんだ。
「ねえ、おねがい。どこへ、行くの・・・」
「ゼラルド」
 王妃はこみあげる悲しみをこらえた。
「ゼラルド、城へお帰りなさい。もしかして、とうさまが教えてくれるかもしれませんよ」
「でも、かあさまは?」
「またあとで会いましょうね」
 あとで。それは、なんという悲しい言葉だったろう。その時にこそ、王妃は火の中へ消えてしまうのだ。そしておそらく、王子は父と、その火を高みから見下ろすことになるのだ。――けれど、少なくとも今は、その言葉は王子を安心させた。
「さあ、お行きなさい」
 優しく、王妃は言った。別れと、そして新しい出発の道を示して。
「さあ」
 長い旅の始まりを祝福して送り出す者のように。永遠の別れの近づく者から。
「行きなさい、ゼラルド」

 そして、無実の王妃は炎の中で死んでいった。ほほえみながら。罪人の赤い花ではなく、真っ白な花を髪に飾って。――周囲の者はみな、国王さえも、王妃が無実であることを知っていたのだった。
 内乱を鎮めるための美しいいけにえを包んで、炎は燃えた。そして、王子の思い――かあさまは、いつ帰っていらっしゃるのだろう・・・。
 王妃ロザリアの処刑、ウェルザリーンの歴史に残る「太陽の王妃の処刑」は、こうして、冬の終わり、悲しいほど空の青い、海が紫にたそがれた日におこなわれた。のちに国を捨てることになる彼女の息子は、まだ母の死もわからぬほど幼かったのだった。

  海が数回たそがれてのち、
   ウェルザリーンは滅ぶであろう。
  海が紫にたそがれるとき、
   聖なる国はその一部を失っているのである。
     ――ウェルザリーンの予言の書より

(完)

 

人気ブログランキングへ

« (海辺にて)(04) | トップページ | 作者より:(海辺にて) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/50526223

この記事へのトラックバック一覧です: (海辺にて)(05):

« (海辺にて)(04) | トップページ | 作者より:(海辺にて) »