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(海辺にて)(05)

「さあ、早く教えて! かあさまをどこへ連れて行くの?」
 誇り高い幼い王子の目が、やがてうるんだ。
「ねえ、おねがい。どこへ、行くの・・・」
「ゼラルド」
 王妃はこみあげる悲しみをこらえた。
「ゼラルド、城へお帰りなさい。とうさまが心配するといけないから」
「でも。でも。かあさまは?」
「またあとで会いましょうね」
 あとで。それは、なんという悲しい言葉だったろう。その時にこそ、王妃は火の中へ消えてしまうのだ。そしておそらく、王子は父と、その火を高みから見下ろすことになるのだ。けれど、少なくとも今は、その言葉は王子を安心させた。
「さあ、お行きなさい」
 優しく、王妃は言った。別れと、そして新しい出発の道を示して。
「さあ」
 長い旅の始まりを祝福し、愛しい子どもを送り出す。永遠の別れを前にして。
「行きなさい、ゼラルド」

 そして、無実の王妃は炎の中で死んでいった。ほほえみながら。罪人の赤い花ではなく、真っ白な花を髪に飾って。周囲の者はみな、国王さえも、王妃が本当は無実であることを知っていたのだった。
 内乱を鎮めるための美しいいけにえを包んで、炎は燃えた。そして、王子の思い――かあさまは、いつ帰っていらっしゃるのだろう・・・。
 王妃ロザリアの処刑、ウェルザリーンの歴史に残る「太陽の王妃の処刑」は、こうして、冬の終わり、悲しいほど空の青い、海が紫にたそがれた日におこなわれた。のちに、国を捨てたとして歴史に名を残すことになる王子は、まだ母の死もわからぬほど幼かったのだった。

 

  海が数回たそがれてのち、
   ウェルザリーンは滅ぶであろう。
  海が紫にたそがれるとき、
   聖なる国はその一部を失っているのである。
     ――ウェルザリーンの予言の書より

(完)

 

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