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(夏の訪れ)(06)

 セレンが思わず聞き返すと、ルークは真剣な声音で語った。
「言っただろう、仲間みたいなものなんだ、ぼくも。都にいる友達は、みんなぼくのことをルークと呼ぶけれど、それは本当の名前ではない。君は、君の名前のことで迷ってくれたのに、ぼくだけ隠しておくのは不公平だ。だから、ぼくも君に聞くことにした。ぼくの名前を、君は知りたい?」
 ルークが今までになく緊張しているのがわかった。
 セレンは笑った――優しい表情だった。さっきから時々、彼はそんなふうに笑っていた。
「ルーク。ぼくは名前なんて、どうでもいい。そして、ぼくは君を信じることにする。ぼくの名は、セレン。セレン・レ・ディア」
 ルークは微笑んだ。
「君の本名か。ならば、ぼくも迷わない。ぼくの名は」
 ゆっくりと息を吸って、彼は言った。静かに、そして、はっきりと。
「ぼくの名は、フルート。フルート・セア・リーデベルク。この国の正当なる後継者。やがてリーデベルクの――王となるべき、第一王位継承者だ」
 フルートは、まっすぐにセレンを見つめた。セレンはわずかに目を見張って、視線を受け止め、身動きできずに固まった。
 静けさの中で、時がゆっくりと、ゆっくりと流れていき・・・
「――そう。では、またね、フルート」
 沈黙は去った。
「時々来るから」
 セレンは笑って手を振った。
 フルートは何も言わなかった――言えなかった。その代わりに、彼は微笑み返して手を振った。

 セレンが行ってしまうと、王子はふわふわと仔馬に近寄った。たてがみが手に触れて、彼は仔馬の首を抱きしめた。
「よかった・・・。怖かった・・・」
 彼は仔馬に話しかけ、声を途切らせた。仔馬はおとなしく主人の言葉を聞きながら、耳としっぽを振った。
 彼らは夕暮れの光の中で、まるで一枚の絵のように、しばらくそこに、そうしていたのだった。

(完)

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