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竜王の館(前編)(01)

「それにしても暑いな」
 セレンは馬上から恨めしそうに太陽を見やった。
「まだ夏はこれからなのに。雨だって、いつから降っていないだろう」
「ふた月になるね」
 馬を並べて、涼やかな声でゼラルドが答える。こちらは暑さをものともしていない。
「物覚えの悪いことだ」
「何だって?」
 セレンがむっとして何か言いかけたとき、道のはるか前方から、歌声のようなものが聞こえて来た。おやっという顔をして、長い月色の髪をした若者は手をかざす。
「あ・・・ごらんよ、あれ、雨乞い行列だぜ」
 そう言って、思案顔になる。
「ぶつかるぞ・・・やり過ごすしかないな」
 言うのを聞いて、黒髪の若者も、どうやらこの辺りでは雨乞い行列に道を譲るものらしいと理解した。
 道の両側には、ずっと畑が続いている。が、ここしばらくの日照りのために、大地はひび割れ、作物の穂も乾いているようだった。雨乞い行列が出ても不思議はない。
 行列は雨を乞う歌声とともに、だんだん近づいてきた。二人は馬を下りて道の端に寄った。セレンがそのまま膝をつくのを見て、
「行列が通るときは身を低めなければならない?」
 ゼラルドが尋ねると、セレンは気が付いてゼラルドを見上げた。
「・・・そうか。たしか君は、竜の年の生まれだったよね?」
「ああ」
「それなら立っていていい。雨乞い行列は竜王に祈りに行くから、その関係でね」
 そうこうしているうちに、行列は二人の前までやって来た。
「そこにおられるのは、竜の生まれのお人か?」
 先頭の初老の男が聞いてくる。残りの者は歌を止めない。ゼラルドがうなずくと、
「祝福をお願いする」
 その言葉を合図に、男の後ろから若い娘が進み出て、小さな石の彫刻の乗った盆を差し出した。彫刻は、粗削りに竜の姿をかたどったものだ。ゼラルドは戸惑ったようにセレンを振り返った。
「水に沈めて捧げものにするんだ。好きなように祝福すればいいよ」
 そう言われて向きなおったが、何か迷っているようだ。石像を眺めながら、
「・・・この天候ではさぞお困りのことでしょうね」
 ぎこちなく、そんなことを聞いている。男は素直にうなずいて、
「まったくだとも。このあたりはオリ川があるからまだいいだろうだが、わしらの村では、川の水も、井戸の水も、もう尽きかけている。家畜に飲ませる水にも不自由しているところだ」
「・・・どこまでお祈りに?」
「もうすぐだ。来るのに三日かかったがね、なに、たいしたことじゃあない」
 ゼラルドはそれでも、まだ何かためらっていた。が、男が不審そうな顔をするよりは早く、透明な水晶の棒を取り出して、石像に祝福を与えていた。
「祝福を」
 水晶棒をすっと動かしてそう言った。男は礼を述べ、行列は再び進みだす。
 その歌声がやがて背後に通り過ぎて行くと、セレンは立ち上がった。ゼラルドはそれに向かって、一言、
「急ごう」
と言った。次の街では、あとの二人と合流できるはずだ。

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