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  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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竜王の館(前編)(02)

 一方、フルートとフィリシア――というより、おしのび中ゆえルークとフィア、は。
「じゃ、気をつけて」
 分かれ道で馬を引いてひとり列を離れながら、金髪の若者は気がかりそうに言った。
「わかってるわ」
 フィアは無邪気に笑って手を振ってみせる。あろうことか、この姫君は、昨夜泊った村の人々と一緒に、雨乞いのおこなわれる沼まで行こうとしているのだった。村の窮状と、それにもかかわらず歓迎してくれた人々の親切に、すっかり心を寄せてしまったのだ。
「どこに泊まってるか、わかるようにしておいてね」
 珍しく気が咎めているらしいルークに向かって、青い髪の乙女は朗らかに頼んだ。そのルークはといえば、他所の祭事にまで関わりあいたいとは全く思わなかったので、フィアを止めこそしなかったが自分は参加せず、一人でさっさと先に行くことにしていた。そのことを、至極簡単に決めていたくせに、後になってフィアに悪いと思い出したらしい。人に気を使うのが不得手な性格なのだ。
 ルークはうなずいた。
「わかった。また明日」
「ええ、また明日」
 見送られて、フィアはまた行列に交じって歩き出す。
 ルークが抜けたので、行列の中で馬を引いているのはフィア一人になった。雨乞い行列においては、これは旅人の特権だ――乗ることは許されないのだったが。フィアは、今日いっぱいを村人たちとともに過ごして、明日街へ向かうつもりだった。儀式のおこなわれる「竜王の沼」から街へは、馬を使えばそれほど遠い道のりではない。
 この行列は歌は歌わなかった。雨乞い行列の仕立て方は、村によってまちまちだ。ただ、村々の代表者たちが雨乞い儀式の日を決め、ふれを回し、それぞれの村で行列を仕立てて当日「竜王の沼」に集まると、あとの儀式は皆でまとまっておこなうことになっていた。祈願文を書いたり、石像を持って来たりするのは、それぞれの係に決められた村の仕事で、その割り当ては毎回変わる。
 今回の儀式は、今日の昼から始まり、三日間続く予定だった。が、フィアのような飛び入りの者はいつでも抜けてかまわない。実際、竜の年に生まれた者が雨乞いに加わるのは吉兆とされていたので、通りすがりの旅人の出入りも珍しくはなかった――フィアもまた、竜の生まれだったのである。
 日はだいぶ高くなっていたが、目的地はもうすぐだった。

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