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竜王の館(前編)(03)

 その日、かの偉大なる竜王は、水底の館で訴訟の裁きにおおわらわだったが、一息つきに居室に戻ったとき、地上での雨乞いの知らせを受けた。
「捨て置け。今は忙しい」
というのが、知らせを持って来た召し使いに対する、竜王の答えだった。まったくのところ、ここしばらく、竜王はいつになく多忙で、だからこそ雨を降らせる暇もなかったのだ。
「それが、ご主人様」
 召し使いはしかし、すぐには引き下がらなかった。覆い布のかかった盆を主に差し出す。竜王はいぶかしげにそれを受け取って布を外し、乗っているものを一目見て、低くうめいた。それは、雨乞いのときにはいつも投げ込まれて来る、粗削りな石の彫刻だったのだが――
「正式な祝福を受けているのか・・・降らせねばなるまいな」
 その彫刻は、正しい作法にのっとった、神聖な祝福を受けていた。人の世から来る物としては珍しいことだったが、もちろん、だからといって無視することはできなかった。
「どうしたものかな」
 考えこんだ竜王が決断をくだすまでに、さほど時間はかからなかった。
「そうだな・・・よし。ではおまえ、倅のところに行ってくれんか。あやつ、最近のんきに遊び暮らしておるようだからな、たまには働かせてやろう。雨を降らせるよう、言いつけて来てくれ。良いな」
「かしこまりましてございます」
「至急だぞ」
 そういうわけで、雨降らしの役は、竜王の息子のところに回されたのだった。
 使いが来たとき、この息子は、青い髪をゆらゆらとなびかせながら――水の神に連なる者はたいてい青い髪をしている――、退屈そうに宝石箱から装身具を選びだしているところだった。雨を降らせろという父親の命令を聞くと、彼はぶつぶつ文句を言ってみせたが、いい退屈しのぎと思ったのだろう、比較的あっさりと引き受けて、むしろ喜々とした様子で出かける支度をし始めた。
「大雨にして洪水でも起こしてやるかな」
と、着替えながら楽しそうに言うので、使いの者があわてて、
「若様!」
と、たしなめる。竜王の息子はふんと鼻で笑った。
「わかったよ、やめておく。せいぜい、雨乞いの人間どもをからかって来るさ」
「・・・あまり度を過ごされませんように」
「気苦労の多い奴だな、心得ているさ」
 笑いながら祭礼の間に移動するが、内心どんなことを考えているかわかったものではない。使いははらはらしながら、しかし口答えすることもできず、ただ黙って頭を垂れた。

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