2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 竜王の館(前編)(05) | トップページ | 竜王の館(前編)(07) »

竜王の館(前編)(06)

 この若者――といっても実際には何才なのかわからなかったけれども――は、床に届くほど長い、青い青い髪をしていた。同じ色の青い青い目は、何の迷いも知らないように澄み切っていて、どこかフルートの目に似ていた。しかし、その目をきらきらと輝かせて、若者が次に言ったことはといえば、
「それで、そなた。私の妻になれ」
というのだった――フルートはむろん、こんなことをこんなふうに言いはしなかった。
 ほんのしばらくの間、フィリシアは、怒るというよりも動転し、言葉を失っていた。けれども、由緒正しい家の娘が、不正にさらわれて来て結婚を迫られた時の当然の反応として、次にはきっぱりと言い切った。
「お断りいたします」
 竜王の息子は驚いた顔をした。
「なぜだ」
「わたくしは、貴方様を存じ上げません。見知らぬ方にさらわれて来て、妻になれと命じられ、はいとお答え申し上げますほど、卑しい魂は持ち合わせておりません」
「何を馬鹿な」
 彼は信じられないという顔をした。
「そなたを連れて来たのはこの私だ。私の妻になったからといって、誰がそなたを卑しいなどと言うものか。そなたは、しかるべく敬われ、いずれは竜王の妃として崇められるのだ」
「わたくしはそのようなことを望んでいるのではありません」
 フィリシアの声は、いっそう硬くなった。竜王の息子はやや苛立ったふうに、
「では、何が望みだ」
「わたくしを、元いた場所に帰していただきとうございます」
「なぜだ!」
 彼の口調が荒くなった。フィリシアは動じた様子もなかった。静かに続けて、
「わたくしには、親も兄弟もおりますし、数ならぬこの身を気にかけてくれる友人もおります。それらの人たちに心配をかけるのはわたくしの本意ではありませんし、知る人もないこの水の底での、どのような贅を尽くした生活よりも、そうした親しい人々との心和む暮らしのほうが、わたくしには大切に思えるのです」
「そなたは私のものだ。私が連れて来たのだ」
「おそれながら申し上げます」
 フィリシアは悲しげな顔になり、硬い声のままで言った。
「わたくしをここに連れていらっしゃる権利も、わたくしをここに留め置く権利も、あなたはお持ちではないのです。どうぞ、わたくしのことなどでお心を迷わせずに、わたくしを元の場所にお帰しくださいませ」

人気ブログランキングへ

« 竜王の館(前編)(05) | トップページ | 竜王の館(前編)(07) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/50791451

この記事へのトラックバック一覧です: 竜王の館(前編)(06):

« 竜王の館(前編)(05) | トップページ | 竜王の館(前編)(07) »