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竜王の館(前編)(07)

「ならぬ!」
 竜王の息子は、いまや完全に激昂して我を忘れていた。彼は椅子を立ち、フィリシアをにらみつけた。
「私が目をかけてやったのに、逆らうつもりなのか、この恩知らずめが! 分をわきまえるがいい、あとで鞭打たせてやろう。おまえはここに留まるのだ、よいか、私の妻になるのだ。待っていろ、いま鞭打ち人を寄越すからな!」
 荒々しく言い捨てて出て行った。フィリシアはうつむいて重いため息をついた。とにもかくにも心細い。今頃、みんなはどうしているだろう? どのくらいの時間が経ったのだろう? まだ、私のいないことに気が付いてはいないだろうか・・・。
 扉の外に気配を感じて、フィリシアははっとした。鞭打ち人が来たのだ。鞭で打たれるのはさすがに初めてだった。服が裂け、皮膚が破れて血が流れ出す・・・ああ。それでも、私は毅然としていなければ。
 それにしては控えめなノックの音に、少し不審を覚えながら「どうぞ」と言うと、入ってきたのはナミと名乗ったさっきの侍女だった。ほおをうっすらと上気させている。
「ご安心くださいませ、姫様」
というのが、彼女の第一声だった。さっきまでと違って、誇らしげに背をしゃんと伸ばしている。
「若様はわたくしがお諫めいたしましたからね。もう大丈夫です。鞭打ち人など――おお恐ろしい――来やしません。とんでもないですわ。姫様をさらっておいでになって、そのうえ鞭打ちだなんて」
 フィリシアは何も言わなかった。見知らぬ土地で不意に味方が現れたことに、戸惑っていたのだ。
「もう大丈夫でございますよ」
 フィリシアのそんな様子を見て、ナミは微笑み、繰り返した。
「若様も、決して悪いお方ではないのです。ただ、ご自分の思うようにならないとすぐにお腹立ちになる悪い癖がおありで・・・どうぞ、許してさしあげてくださいませ。わたくしが代わりにおわび申し上げます」
「まあ、ナミ」
 深々と頭を下げたこの侍女に、フィリシアはあわてて声をかけた。ナミは顔を上げ、
「覚えていてくださいましたのね!」
 嬉しそうに言った。
「どうぞ姫様、わたくしをご信頼あそばしてご安心なされませ。わたくしがお世話いたします限り、姫様には決してご不自由はさせません」
 はにかんだ、けれど誇らしい笑顔。フィリシアの世話を任されているのが彼女だということは、あるいは天に感謝すべき幸運であるのかもしれなかった。
「・・・ありがとう、ナミ」
 フィリシアは思わず気が緩んで涙ぐみそうになるのをこらえ、心からの感謝をこめて言った。
「私など他所者だし、もしかして、あなたにも楽しくない思いをさせてしまうのかもしれないけれど。ここにいる間は、どうぞよろしくね」

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