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竜王の館(前編)(08)

 そうして、次の日からの滞在は、フィリシアにとって、少なくとも、それほど不愉快なものとはならなかったのだった。
 まず、最初の朝に、若い主が謝罪を述べにやって来た。フィリシアの目が覚めるまで、ナミは彼を待たせておいた。
「その・・・昨日は申し訳なかった、姫」
 やっと入室を許可されると、彼は、朝の挨拶も抜きで、落ち着かなげに切り出した。気まずいのだろう、横を向いたり下を向いたりして、フィリシアと目を合わせようとしない。
「昨日はその・・・少し気がせいていたものだから・・・姫を、その、おそらく・・・ずいぶん、脅かしてしまったことと思う。たかが人間と侮って・・・無礼なことを、申し上げた。どうか・・・お許し願いたい」
 傲慢な様子が完全に消えたわけではないが、つっかえながらそう言った彼は、ずいぶん礼儀正しくなっていて、何より、ひどく後悔しているようだった。フィリシアは、淋しげにではあるが、かすかに微笑した。
「わたくしなど、あなたのおっしゃる通り、卑賤な人間に過ぎません。どうぞ、お気になさいませぬよう」
「あなたは卑賤などではない、姫」
 竜王の息子は驚いたように目を上げた。
「私がそう思わせたと言うのか? そんなつもりではなかったのだ。ただ・・・」
 しばし絶句して、また視線を落とし、低い声で言い始めた。
「たかが人間の、とは、確かに思っていた。だから姫が私に従わぬと知って、ひどく腹も立ったし、力づくで言うことをきかせようと思いもした。だが・・・非道だと諌められて考え直し、気が付いたのだ。たとえ力によって姫を手に入れても、それでは何の意味もない。姫が私を疎み、忌まわしいものとばかり思いなすなら、何の嬉しいことがあるものか。私の望むのは、そんなことではない!」
 竜王の息子は真正面からフィリシアを見つめた。青い髪の姫は、その強い視線を受け止めかねて、そっと目を伏せた。天真爛漫なこの姫のほおにも、さすがに薄く、血の色が上って来ていた。
「その後で私は自分のしたことに気付いた」
 竜王の息子はかまわずに続けた。
「私は姫に、ずいぶん乱暴な仕打ちをした。あれでは・・・姫に嫌われるばかりだ。そう思い始めたら矢も盾もたまらなくなって」
 ここで、彼の声はふと再び不安そうな響きを帯び、
「それで、朝からこうして謝りに来たのだ、姫。しかし姫は・・・姫は、もう私のことなど、野蛮で情けのかけらもないと――見るのも嫌なほど厭わしいと、そう思い決めているのだろうか・・・?」
 フィリシアは、しばしためらった。それから、正直に、
「嫌ってなどおりませんけれど、お恨み申し上げております」
と言った。竜王の息子はまじめな顔で、
「姫をここに連れて来たことをか。何不自由なく暮らせるように配慮するが」
「わたくしの心は、昨日と何ら変わっておりません。わたくしの望みは」
「だめだ!」
 竜王の息子はその先を悟って声を荒げた。
「姫は帰さぬ。それだけは譲れない」
 フィリシアは黙って、悲しげにうつむいた。竜王の息子は気を鎮め、こちらもいくぶん傷心の態で、
「姫。早く、この館の暮らしにも慣れてほしい。きっと、姫の気に入る。姫が落ち着くまでは、私も無理強いはするまい。いつまででも待とう。姫が、私の妃になっても良いと、言ってくれるまで」
 フィリシアははっと身を固くした。そして、うつむいたまま、ゆらゆらとかぶりを振った。竜王の息子は、彼女が目を上げはせぬかとしばらくじっと待っているようだったが、やがて苦しげに席を立ち、それ以上何も言わずに部屋を出て行った。

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コメント

ついつい覗きに来てしまいます。。
これからも応援してます(*・`ω・)q

応援ありがとうございます!
頑張る力が湧いて来ました~!!

お洒落なご職業なのですね☆
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