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竜王の館(前編)(11)

「姫様、少しお休みあそばせ」
 ひと段落ついたとき、ナミが息を切らせて言った。
「そう? そうね」
 フィリシアも逆らわずに、こちらも多少息を弾ませて、他の侍女の引いて来てくれた椅子に腰かける。
 するとその時、部屋の戸口で、もはや聞き慣れた、なかなかに響きの良い声がした。
「ここは楽しそうだな」
 びっくりして娘達が戸口を見ると、そこには、言わずと知れた竜王の息子が、豪奢な銀の衣装の上に青い豊かな髪を垂らして、上機嫌な様子で立っていたのだった。
「まあ、若様!」
 侍女たちは、そこはさすがに、さっと脇に控えて頭を下げる。フィリシアも椅子から立ち上がろうとすると、
「良いから座っておれ、姫」
 軽く制して、彼は部屋の中に入って来た。急いで侍女がもう一脚椅子を引き出すと、腰をおろして足を組み、
「取り次ぎが誰もおらぬと思えば、こんなところに勢ぞろいしていたとはな」
 からかうように言い放つ。
「申し訳ございません、若様」
 ナミが代表して主人に答えた。深く頭を下げて、
「今日はこちらにはおいでにならないとばかり、思い込んでおりましたので」
「宴のことか? あんなもの、面白くもないわ」
 竜王の息子は眉を寄せて言い捨て、飲み物のグラスを受け取ると、フィリシアに笑いかけた。
「実は抜け出して来たのだ。ここにいるほうが、ずっと気分がいい」
 フィリシアが何と言おうかと迷うのへ、続けて、
「良いものを見せてもらった。姫はとても軽やかに踊るのだな」
「まあ。どのくらいご覧になっていらっしゃいましたの」
 やっぱり見られていたのだと知ってフィリシアがあわてると、彼は少しつまらなそうな顔になって視線を外した。グラスの飲み物を飲みながら、
「たいして見てはいないさ。私が来たら、姫がやめてしまったのではないか」
「でも、のぞき見なんてひどいですわ」
「取り次ぎがいないのが悪い」
 竜王の息子は笑って、再びフィリシアに目をやり、彼女が自分を恨めしそうに、しかし親しげににらんでいるのを見てびっくりした。
「いやその、私も悪かったかもしれないが」
 彼がどきまぎして心にもないことを口走ったので、今度はフィリシアが驚いた。
「え?」
「いやその」
 竜王の息子は、自分に向けられている、今は驚きの色を浮かべている青い瞳に、視線を吸い寄せられるように感じながら口ごもった。胸の内の戸惑いはしかし、次第に、ふくれあがる喜びに変わっていった。この姫君がこんなに親しくふるまってくれたのは――フィリシア自身は気付いていなかったけれど――初めてだった!

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