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竜王の館(後編)(02)

 考えているうちに、騒ぎはどんどん近付いて来た。侍女たちの声が聞きとれる――そう、たしかに「竜王様」と聞きとれる。「でも若様が」とも。つまり、この水底の主たる竜王が、息子の管轄である離れに、断りなしに入って来ているのだ。
 フィリシアはだんだん不安になって来た。気を励まして背筋を伸ばすと、ドアがバタンと開いて、ナミが飛びこんで来る。真っ青な顔に絶望の表情を浮かべて、この侍女は、敬愛する姫君のために、ただそれだけのために、健気にもかすれた声を振り絞って客の来訪を告げた。
「姫さま・・・ご友人が!」
 それは、ほとんど悲鳴だった。え?と、フィリシアが問い返そうとしたときには、しかし、すでに、開いたままの戸口に、訪れて来た人が姿を見せていた。
 ――夢にまで見た人が、そこに立っていた。
「フィリシア。・・・よかった」
 どこにいても彼を際立たせずにおかない、涼やかに冴え返った清冽な空気。水底のたゆたいを吹き払う、目の覚めるように鮮やかな存在感。――白と金色を基調とした、ほぼ正装に近い服装で、フルートは当たり前のように凛然とそこに立ち、厳しかった表情にほっと安堵の色を見せて、親しい姫に手を差し伸べていた。
「迎えに来たよ」
「・・・フルート!」
 フィリシアはとうの昔に椅子から立ちあがって、自分の目が信じられないという顔でその場に立ちすくんでいたのだが、呪縛が解けたように足を踏み出し、何歩か歩いて、つまずいて倒れそうになった。
「おっと」
 フルートがあわてて前に出て受け止める。フィリシアは緊張の糸が切れて、そのまま彼に抱きついて泣きだしてしまった。
「フルート・・・もう二度と会えないかと思っていたの!」
 金髪の王子は抱きつかれて少し困ったふうだったが、悪い気はしなかったし、もちろん突き放すつもりもなかったので、ぎこちない手つきでそっとフィリシアの髪をなでた。そして、しかし、そうしながらも、後から入って来たもう一人を振り返って助けを求めずにはいられなかった。
 妖精を統べる<光り姫>は、笑いながらフィリシアの髪を引っ張って呼びかけた。
「ねえ。私は?」
 フィリシアは二度びっくりして、フルートから離れ、この友達に向き直った。
「ミルガレーテ! まあ・・・何てきれいなの!」
 <光り姫>は、クリーム色のふわふわしたドレスの上に、光り輝く金の髪を波打たせて、世にも美しい微笑みを浮かべていた。
「あなただって」
 ミルガレーテは言って、フィリシアの手を取り、不思議な金色の目で、じっとフィリシアの目をのぞきこんだ。
「無事で良かった! ごめんなさいね、遅くなってしまって」
 そうして二人の姫君は、やっぱり感極まって、抱き合ってしばらく離れなかったのだった。

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