2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ひとこと通信欄

  • (2017/10/15夜)ご心配おかけして申し訳ありません。疲れて色々おっくうになっていますが、ごはんと睡眠はちゃんとしていますので、ご安心ください。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 竜王の館(後編)(04) | トップページ | 竜王の館(後編)(06) »

竜王の館(後編)(05)

 曲がりくねる廊下に沿って、白い壁が、濡れたように光りながらでこぼこと続いていた。廊下も壁も、おかしな具合にゆがみ、傾いていたが、しかし、それらはそれゆえにいっそう、美しさと威厳を増しているように見えた。
 そして、いまさらながらフィリシアが気づいてみると、彼女は今まで、部屋から一歩も出たことはなかったのだった。彼女はともかくも囚われの身で、いかに丁重にもてなされていたにしても、実質的には軟禁状態に置かれていたのだ。部屋から出ることは固く禁じられていて、それが気にならなかったのは、ひとえに、たとえ部屋の外に出られたとしても地上につながる道は無いと知っていたから、だった。
 フィリシアがそういったことに改めて思い至り、感慨にふけりながらナミの後について歩いて行くと、ナミはそれほど長くは歩かずに、ひとつの部屋の前で立ち止まり、鍵を出して扉を開けた。中に入って、
「どうぞ、姫さま」
と、招き入れる。
 フィリシアが中に入ると、そこは衣裳部屋だった。見渡す限り、ぎっしりと服がしまいこまれ、狭い通路がかろうじて区画を分けている。その手前側の一角には、明らかに真新しいとわかるドレスの一群があった――フィリシアのために作られた服に違いなかった。
 そして・・・服でいっぱいのその部屋の、わずかに空いた空間に、誰あろう竜王の息子が、所在無げに立って、きまり悪そうな様子でフィリシアを見ていたのだった。
「まあ」
 フィリシアは思わずナミを振り返った。
「お許しくださいませ」
 ナミはうなだれたが、竜王の息子が口をはさんで、
「姫。それを責めないでやってくれないか。私のためにしてくれたことなのだ」
「責めるなんて、そんな・・・とんでもない・・・でも・・・」
 フィリシアはうろたえて口ごもった。竜王の息子はかすかに笑った。
「私と話をするのはお嫌ですか、姫?」
「まあ、いいえ!」
「では、少しくらい付き合ってくれても良いはずだ。あなたはもう行ってしまうのだから」
 竜王の息子はつぶやくように言った。フィリシアは何と答えればいいのかわからなかった。

人気ブログランキングへ

« 竜王の館(後編)(04) | トップページ | 竜王の館(後編)(06) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/51049170

この記事へのトラックバック一覧です: 竜王の館(後編)(05):

« 竜王の館(後編)(04) | トップページ | 竜王の館(後編)(06) »