2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 竜王の館(後編)(06) | トップページ | 竜王の館(後編)(08) »

竜王の館(後編)(07)

 竜王の息子は身をかがめてドレスを拾い上げた。
「繰り返せば何着でも出てくる。この部屋とつながっているのだ。ナミが取り仕切る」
「でも、私」
「用が済んだら、服の上から、また三回叩く」
 ドレスを突き付けられて、フィリシアはやむを得ず言われたとおりにした。さっきと逆の現象が起こり、ドレスは紫色の煙となって、くるみの中に吸い込まれてしまった。
「これを姫にあげよう」
「そんな、私、いただけません」
「なぜだ?」
「だって、私・・・」
 フィリシアは言いよどんだが、思い切って言った。
「私は、あなたを振り切って帰ろうとしているのです。それなのに、こんなことまで・・・。一度も袖を通していないのですし、私などよりドレスの似合う方はたくさんいらっしゃるでしょうに」
「ナミに聞いてごらん」
 フィリシアはナミを振り返った。ナミは決然とした面持ちで、
「わたくしも、わたくしの同僚たちも、姫さまに着ていただくために縫ったのでございます。姫さまがお召しになってくださらないなら、どなたに差し上げるつもりもございません」
「でも、私にその権利はないわ!」
「姫」
 呼ばれて、フィリシアは竜王の息子に向き直った。竜王の息子は真剣な様子をしていた。
「私は姫を忘れないだろう。何十年も、何百年も。だが、姫は・・・姫は、私を覚えていてくれるつもりはあるのだろうか?――もし」
 フィリシアの答えも聞かずに、おおいかぶせるように続けて、
「もし姫が、少しでも私のことを覚えていてもかまわないと思ってくれるなら・・・受け取ってくれないか」
 フィリシアは竜王の息子の青い青い瞳を見つめた。それから、視線を落として手の上の魔法のくるみを見た。しばらく沈黙し、そうして、やがて言った。
「首にかけておけるように、紐を付けていただけますか」
「かしこまりました」
 ナミがすぐに進み出て、フィリシアからくるみを取り上げた。服のどこかから針を取り出し、銀の紐を通してくるみに当てると、針はすうっとくるみを突き抜ける。はさみで切って、紐を結び、細い指できゅっとしごくと、結び目はわからなくなってしまった。
「どうぞ、姫さま」
 フィリシアは受け取って、首にかけ、くるみをドレスの胸元に落とし込んだ。

人気ブログランキングへ

« 竜王の館(後編)(06) | トップページ | 竜王の館(後編)(08) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/51049191

この記事へのトラックバック一覧です: 竜王の館(後編)(07):

« 竜王の館(後編)(06) | トップページ | 竜王の館(後編)(08) »