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  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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竜王の館(後編)(10)

 地上に着いたのは夕方だった。辺りには人ひとり見えなかった。船は、三人を降ろすと溶けるように水中に消えて行った。
「・・・気のせいかしら」
 フィリシアは周りを見回して言った。
「なんだか・・・沼が大きくなったみたい」
「ああ。ものすごい雨だったから」
 フルートが答えた。表情を曇らせて、
「雨を降らせたのは竜王の息子だと聞いたけれど、乱暴な雨だった。川が氾濫して街外れの橋も渡れなくなったし、作物も、根こそぎ取られて大変なことになっている」
「そうなの・・・」
 フィリシアは驚きを浮かべてそう言った。竜王の息子が自分にかまけて他のことを顧みなかったと知るのは、胸の痛むことだった。
「彼はもっと周りのことも気にかけたほうがいいだろうとは思う」
 フルートが、せいいっぱい控えめな言い方で意見を述べた。自身がいずれ一国を預かる立場であるだけに、身につまされているのに違いなかった。
「そうね」
 フィリシアは同意した。本当にその通りだと思ったのだった。
 近くに馬車が呼んであった。三人はそれに乗って、街へと揺られて行った。馬車の中では、船にいた時よりはずっと話が弾んだ。話題になったのはもっぱら、今日までにどのような過程があったのかということだった。
 フルートの話によれば、フィリシアが沼の中にさらわれたことは、案外すぐにわかっていた。雨乞いの翌日の午後、村人がフィリシアの馬を連れて、豪雨の中を街の宿屋まで教えに来てくれたのだ。フルートは知らせを聞いて驚いたが、まずは合流した友人たちと相談した。
 問題はそこからだった。ゼラルドが言うには、竜王のように人知を超えた者たちは、おのおの固有の空間領域を持っており、そのような別世界に人間がこちらから入って行くことは不可能だというのだった。彼は雨が降りだしてから三日目に、豪雨を見かねて部屋で何かの儀式をおこない、雨をやませてしまったのだが、その彼にすら、境界を越えることはできないのだと。頼みの綱は、フィリシアの友の<光り姫>、人間界と妖精界のあわいに住まうミルガレーテだけだということになった。

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