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竜王の館(前編)(16)

「姫さま、それは・・・」
 ナミは、奇妙な顔をした。そして、おそるおそる言った。
「姫さまには、もしかして、どなたか将来を約束されたお方でも、いらっしゃったのではありませんか?」
「・・・いないわ」
「では、向こうに誰か、お会いになりたい方がいらっしゃるでしょう!」
「ええ。それならいるわ」
 フィリシアは素直に認めた。ナミが待っている様子なので補足した。
「私、お友達と、旅をしているところだったの。今頃、みんな心配しているわ」
「姫さま、でも、それは」
「ええ。わかっているわ」
 フィリシアはもう泣くこともなく、静かに続けた。
「さっきね、考えていたの。私がここにこうして連れ去られて来てしまって、帰してもらえる見込みもなくて、もう十日も経つわ。でも、何もできなかったし、何も起こらなかった。だから、本当なら、もうあきらめるべきなんだわ。みんなだって、もう、あきらめて、行ってしまったかもしれない。私がどこにいるのかだって、わかっていないのかもしれない。たぶん、私はもう、帰れない。だから」
 しばらく黙って、それから続けた。
「だから、たぶん・・・このまま何年か過ぎて、それでももし、あの方のお心が変わっていなかったら、私はきっと・・・あの方に、はいとお答えするようになるわ。でも、今はだめ。私をここに力づくでさらって来た方の妻になるには――それが私を想ってくださるがゆえにだったとしても――、私のこの、帰りたいという思いが、消えるのを待たなければならないんだわ」
 そしてまたしばらく沈黙して、やがて締めくくった。
「私ね。そんなことはあり得ないと言われてしまうでしょうけれど・・・それでも、まだあきらめられないの。心のどこかで、いつも思っているの。もしかしたら・・・誰かが迎えに来てくれるのではないかしら、って」
 もちろん彼女は知る由もなかったが、まさにこの夜、地上では、やっと救出の手筈が整って、友人たちは祈るようにして彼女の無事を願っていたのである。

(前編 完)

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コメント

自己中心的で 強引なのに
反面、一途でデリケート・・
捕われて来たはずの状況でも
ふと こころほころばせてしまう・・
勝ち気で勇敢なフェリシアでも
ときに 乙女に立ち返ってしまうことがあるのですね。
昔、竜王子にそっくりな人がいました。
やはり、竜年でした・・何と言う奇遇でしょう!

montiさん、
コメントありがとうございます♪
フィリシアは時々、読者様から勇敢と言われますが、勝ち気とは珍しいご感想ですconfident

竜王子みたいな人、いそうでいない、と思っていたら、いたのですね~。
きっと、わがまま言っても憎めない方だったのでしょうね☆

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