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  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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(仲たがい)(03)

 森の泉でルークに出会ったあの日から、世界はまるで変わってしまった。まぶしいほどに色鮮やかな日々。なのに、そのすべては幻だったのだろうか。
(ああ、ぼくが鳥だったなら)
 窓の向こうの青い空を眺めて、セレンは夢見るように思った。
(そうしたら、今すぐ、城まで飛んで行くのに。たとえフルート自身に弓で射殺されるとしても、それでもまっすぐ飛んで行くのに)
 どこかで、ひどく性急な笛の音がしている。聞くともなしに聞いていたセレンは、はっとしてガタンと立ちあがった。
(笛の音、だって!)
 部屋を出て、階段を駆け下り、玄関を飛び出し、屋敷の門にたどり着くと――そこに、その開け放たれた門の脇に、ルークはいた。
「・・・セレン」
 笛を離して、ほっとした顔で呼んだルークは、セレンが恐れたあの鋭い怒気を、もう身にまとってはいなかった。
「セレン。よかった。もう会ってはくれないかと思って・・・」
「ぼくのほうこそ! 君が何日も来なかったから・・・」
「来られなかったんだ! 見張りが増えて」
と、ルークは応じた。真剣な顔で、
「ずっとセレンのことを考えてた。この前会ったとき、ひどいことして、ごめん。きっと怒っているだろうと思って、謝りたくて、本当は飛び出して来たかったんだ。なのに、ずっと抜け出せなくて、会えなくて、ぼくはもう気が気じゃなくて」
「同じだ。ぼくも、何も手につかなかった」
 セレンは笑った。ルークは表情を和らげたが、少し視線を落として、
「街のみんなのことはさ。セレンとぼくでは立場が違うから、考えも違っていて当たり前だって、気付いたんだ」
「うん」
「無理強いするようなことを言って、あと色々、勝手なこと言って、ごめん」
「ぼくも。色々ひどいこと言って、勝手なことして、ごめん」
 二人の少年は、互いに胸のつかえが取れて、心から安堵して笑いあった。
 ルークが残念そうに、
「もう帰らなくちゃ。しばらく来られないかも。でも、来て良かった」
「うん。来てくれて、ありがとう」
 会っていたのはほんの短い間だったけれど、二人の少年が心の平穏を取り戻すには、それで十分だった。

 セレンは憑き物が落ちたように元気になった。きちんと食事をし、夜もぐっすり眠れるようになった。
 そう、おそれなくとも大丈夫。けんかしたら、仲直りすればいい。
 この友情は、きっと変わらないから。

(完)

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