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竜王の館(後編)(15)

 セレンはかまわず、軽い調子で続けて、
「フルートのことなら気にしなくていいんだよ。どうせ、誤解されて困るような想い人はいないんだから。君の所にはわんさと求婚者が押し掛けて来るだろうけれど、それを少しばかり待たせておいたって、こんな可愛らしい姫君のためだもの、誰も気を悪くしたりしないって。・・・ああ、そうか、それとも――待たせておけないような人が、君のほうにはもういるのかな? この美しい姫君の心を射止めた、幸運な想われ人がさ?」
「まあ、いないわ!」
 フィリシアは赤くなった。
「意地悪なひとね、セレン・レ・ディア!」
「君の名誉と、ぼくの悪だくみのためだからね」
 セレンは悪びれずに言って、さらりと、
「じゃ、約束してくれる? 国に帰ったら、とりあえずフルートを待っていてくれるって」
 フィリシアは押し切られたように、
「・・・ええ」
 困った顔をしながらうなずいた。
「ありがとう」
 セレンはにっこりして、
「このことはフルートには内緒に頼むからね。――さてと、それではぼくも失礼しようかな。君も、今日はゆっくりお休み。食事はこちらに運ばせるように手配しておいたからね。あとでフルートが謝りに来たら、どうせ気の利かない冴えない謝り方だろうけれど、今日のところは勘弁してやってよ、ね」
「ええ、それはもちろん・・・」
 フィリシアはとてもとても当惑した顔をしていた。セレンが彼女に考える暇を与えなかったので、彼女には、どうしてこんなことになってしまったのか、さっぱり理解できなかったのだ。
 そしてもちろん、セレンは要領よく部屋を出てしまったのだった。

 その夜は平和だった。フィリシアは夕食前にはフルートの訪問を受けていたし、ゼラルドの部屋にはこちらから挨拶に行って、ココアをごちそうになった。そしてその他の時間は、彼女は部屋に一人きりでいた。仲間達が冷淡だからそうなったのではなく、むしろ、彼らがフィリシアの精神的な負担を気遣って、そっとしておいてくれたのだった。
 フィリシアはぼんやりと椅子にかけて、いろいろなことについて思いを巡らせた。本当にこれで良かったのだろうか? 竜王の息子のあの真剣な青い目のこと、今も首にかかっている魔法のくるみのこと、それから・・・。
 彼女は早めに床についた。眠りに落ちるとき彼女が何を考えていたのかは、もちろん、誰も知らない。

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