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竜王の館(後編)(16)

「・・・やはり、光り姫に言って、あの姫をもらい受けたほうが良かったのであろうかな」
 その頃、「竜王の沼」の底では、かの偉大なる竜王が、妃と二人で静かに語らっていた。
「もらい受けて、せめてあの姫の寿命が尽きるまでくらいは、好きにさせてやれば良かったのかもしれぬ」
 あごひげをなでながら考え深げに言った彼は、客人達が帰った後も、息子を呼びつけて叱るようなことはしなかった。いずれは諭さなければならないだろうが、今はまだ、そのときではない。
「いいえ、これで良かったのです」
と、竜王の妃は、穏やかな物腰ながら、はっきりと答えた。尋ねられるまでもなく理由を述べて、
「ご覧になりましたでしょう。あの人間の二人は、とてもお似合いでしたわ。たしかに私達は、人間より聡く力ある種族ですけれど、それで人間と張り合っていつも勝てるとは限らないのですわね。あの姫に関しては、あの子に勝ち目があったとは思えませんでした」
「つまらぬことを」
 竜王は仏頂面で言った。妃はまだ十分に青い髪を揺らして笑った。
「でも、あの子は立派でした」
と、彼女は続けた。感慨深げに、
「ナミから聞きました。十日余りも、あの気性の激しい子が、あの姫君に対して、それはそれは気を遣って、何を強いるわけでもなく、ただひたすらに待ち続けたそうですわ。そういえば姫君が帰るときも、とりわけ激して乱暴することもありませんでしたものね」
「あとでナミを寄越してくれ」
 竜王はぶっきらぼうに言った。
「あの親不孝者が、わしに隠れて十日も何をしていたのか、わしもよくよく聞かねばなるまい」
「そうなされませ」
 妃は優しく言った。
「あの子は、きっと良い後継ぎになります。もう少しあの子が落ち着いたら、今度はあの子を想ってくれるような、もちろん人間ではない、結婚相手を見つけてやりましょうね」
 そしてこのとき、当の竜王の息子はどうしていたかといえば・・・。
 偉大なる竜王の後継ぎたる竜王の息子は、自分の部屋に引きこもって、誰一人中に入れようとはしなかった。そして、暗い目をした彼の前に今まざまざと思い浮かんでいたのは、彼の愛しい姫君の姿ではなかった。そうではなく、彼を今ひどく苦しめ、傷つけ、悩ませていたのは・・・今日の昼、彼が船を見送ろうと館から船着き場を見下ろして、あの王子に気付いて思わずその姿をじっと見つめた時の――そして、姫君達を待っている様子だった王子が彼の視線に気づき、首を巡らせて迷いもせずに彼の姿を捉えた時の――、あの、恐れげもなく真っすぐにこちらを見返して、まじろぎもせずに凛と冴えていた、意思の強そうな、涼やかに澄み切った青い瞳の色だったのである。

(完)

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