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化身の魔女(09)

 ――ルークとキートと二頭の馬は、魔女と一緒に、どこまでも続くひび割れた大地の真ん中に立っていた。振り返れば、彼らが今越えて来た線が、荒れた地面の上にくっきりと引かれているのを見て取ることができた。
「今ここには何もないわ」
と、魔女が言った。そしてそれはその通りで、ここには、彼ら自身を除けば、どこを見ても、大地と空と乾いた太陽の他に何もなかった。どんな種類の音も、どんな生命の息吹も。
 魔女はそれから、杖で左の方を指した。
「森を出すわよ」
 魔女が杖を振ると、空っぽだった世界の左半分は、一瞬にして森になった。世界に生命の力が生まれ、音や匂いや湿り気が様々に混じり合い、しかし、それは左半分だけのことで、右半分の世界は依然として死んだままなのだった。
「さあ、今からこの森は、少しずつあちらに移動するわ。こんなふうによ」
 魔女がもう一度杖を振ると、奇妙な出来事が起こった。森の木が一本、森を離れて歩き出したのだ。歩く、というのか、泳ぐ、というのか・・・その木は立派な樫の木だったが、土に根を埋めたまま、ゆっくりと左の森を離れ、立って見ている者たちの前を通り過ぎて、右の世界の奥深くへと入って行った。右の世界に、かすかな生命の炎が宿った。
 すると、間をおかずに、今度は一匹の蛇が、するすると土の上を這って、左の森を抜け出して来た。蛇は、先に行った木を追いかけるようにして、右の世界に入って行った。蛇の後には大きな狼が一頭続き、その後にはすみれの花、その後にはカラスが一羽、その後には・・・その後には・・・。
「そのうちに、あなた達の仲間もここを通るはずだわ」
と、魔女が言った。すでにルークは、最初の木が通り過ぎる時から、気のなさそうな様子ながら、すべての物を見逃さずにちゃんと目に収めていた。魔女は続けて、
「一度に一つしか通らないわ。行列を止めたくなったら、いつでも『止まれ』と言えばいいのよ。『進め』と言えば進むわ。何度止めても結構よ」
 ルークが何も言わないので、キートが代わって、
「わかったよ」
と言った。魔女は笑って、
「用が出来たら呼んでちょうだい」
 勝ち誇ったように言い捨てると、ふっと姿を消してしまった。

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