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化身の魔女(10)

 キートはルークを見上げ、声をかけていいのだろうかと迷った。が、ルークのほうが先に口を開いて、
「立ってても疲れるだろ。座れよ」
 変わらない打ちとけた声をかけてくれたので、ほっと安心した。
「うん」
 ルークが座ってから、その隣に腰を下ろした。ルークは相変わらず気のなさそうな様子で、ただ目だけは決して行列から離すことがない。キートは黙って自分も行列を見守ることにした。自分の友達さえ見つけられなかったのに、あの若者を見つけられるとは思えなかったけれども。
 しかし、実際それは、無責任な目から見たらなかなか面白い眺めだった。行列は、草木も獣も鳥も虫も、ごちゃまぜになって進んで行き、中には見たこともないような珍しい生き物もあった。キートはしばし、自分の経験した苦さを忘れ、隣のルークに申し訳ないと思いつつ、不思議な眺めを楽しんだ。行列の中には、美しいものも、醜いものもある。あの綺麗な若者の化身なら、何となく、美しいものに違いないだろうとキートは思ったけれど。
 夜鶯が、まだ昼間なのに一声さえずって空を飛んで行った。生まれて初めて見るシマウマが、ぱかぱかと通り過ぎて行った。ナマケモノを見るのも初めてだった――これの場合は、ナマケモノという名前だってキートは知らなくて、ただ、妙な毛むくじゃらの動物、というふうにとらえたのだったが。
 キートは時々ルークの顔を盗み見たが、ルークは全く表情を変えず、片膝を抱えて、じっと目の前を通るものを眺めているばかりだった。もっとも、その口元にはかすかながら、状況を楽しんでいるような笑みが浮かんでいて、それなりに彼も面白がっているようだったので、キートは一面ではそれを見て安堵したし、一面では不安にもなって、あわててその不安を追い払った。何も自分が心配してやることはないのだし、と、自分に言い聞かせる。俺は止めようとしたんだから。
 行列は一定の間隔で連なり、とてもゆっくりと進んでいて、小さなものも決して見落とされることはなかった。大きなガマガエルの後に、小さなトンボがすうっと過ぎた時もちゃんと見えたし、モモンガがひらりと飛んだあとにコオロギが地べたを跳ねたのもわかった。木や草は動物ほど面白くなかった。花はまあまあ飽きなくて、時々、やさしげな風情の花が地面を滑って行くと、キートは期待してルークを振り返るのだったが、ルークのほうはそのどれにも関心を示さずに、行列を止めもしないで、花が遠くへ行くままに放っておくのだった。

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