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化身の魔女(20)

 セレンはそこで黙ってしまった。ルークが皮肉っぽく、
「世界一醜い顔だった?」
 促すと、我に返り、
「え?・・・とんでもない!」
 驚いたように言った。
「彼女が思いこんでいただけなんだ。世界一自分が醜いって。全くのところ・・・そうだな、彼女のような人を、絶世の美女というんだと思ったよ!」
「ふうん」
 セレンがそのままぼんやりとなってしまったので、ルークはいささか困惑気味に、
「それじゃ、そこで目が覚めたのは、君としては残念なことだったよな」
 言ってみると、セレンは心外そうに、
「どうして? 彼女は化身で、本物は君じゃないか」
 そう言ったので、ルークはうんざりして――彼にはその辺の区別がどうしてもわからなかったのだ――、あとは放っておいた。
 夢に浸りこんでしまったセレンは、しかし、やがて我に返ると、いきなり、
「あのスカーフ留めは気に入っていたのにな」
と言いだして、ルークをあきれ顔にさせた。
「いいじゃないか。ぼくが誕生日にやった奴だろ、あれ」
「まあね、これはこれで良かったんだと思うよ。いいところの子に見えたもの、将来キートに資金が必要になるかもしれない。でも、三年前の誕生日だったんだぜ、あれをもらったの。ずっと大事にしてたんだ。だいたい、君はいつだって」
「わかったよ、悪かったよ。ぼくだって、あの子を見たときはびっくりしたんだ」
 二人がキートの背後に見た、キートが二人に会わせようとしなかった、ただ一人こちらに向かって手を振っていた彼の友達は、遠目にも可愛らしい女の子だったのである。

 キートは、魔法の解けた人々と一緒に、地面の線を越えて戻った。線を越えたところは、すでにいつもの見慣れた道、林の中の道だった。
 人々は、自分達を救ってくれたという二人の旅人が立ち去ってしまったのを残念がっていたが、まもなく散り散りになって帰って行った。キートは林の中に白い物を見つけ、何だろうと見に行ってみると、それはあの魔法のテーブルクロスだった。
「それ、なあに」
 友達に聞かれて、素直に教えると、
「ふうん、すてきね」
 友達は疑う様子もなくそう言ったが、持って行ったらとキートが勧めると、
「あなたが持って帰ればいいわ」
と言って笑った。それでキートはそうした。
 魔法のテーブルクロスは、すぐにキートの家の宝物になって、家を少しだけ豊かにしてくれた。振る人によって違う種類の食べ物が出て来るのだ、とわかるまでには少し時間がかかった。それを知ってからは、彼は大切な思い出をたどるとき、セレンの肩の金色の印を思い浮かべたあと、一体あのルークは何者だったのだろうと思うようになった。
 魔法のテーブルクロスは良い宣伝になったので、キートは、もらったスカーフ留めを手放さなくても、成功することが――妻を迎えることも――できそうだった。いつの日か、彼がこの特注品のスカーフ留めの由来を知るときが来たならば、そのとき、彼はあの二人組が誰だったのか、知ることができるだろう。

(完)

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