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(凶宴)(01)

 <月の力>の発動を訓練しているとき、扉の外からわがままな可愛らしい声が聞こえて来て、彼は思わずため息をついた。どうしても、妹は取り次ぎを通さずに直接押しかけて来たいらしい。こちらの都合はおかまいなしだ。
「お兄さま。お兄さま。ねえ、入ってもよろしくて?」
「・・・いいよ、お入り」
 発動中の術を解き、許可を与える。そう、許可を求めるようになっただけ、以前よりはましだ。以前の妹は、彼がいくら言っても我が物顔に部屋に入って来て、むしろそれが妹であることの特権だとでも思っているようだった。そしてある日、術の発動中だった彼が、途中で干渉されたことにより大怪我をして、やっと、この「入室の許可を求める」という当たり前の手続きを受け入れてもらえるようになったのだ。
 ユリアは、いそいそと部屋に入って来ると、
「ほら、お兄さま。今度のドレス、どうかしら」
 新しい紅色のドレスをふわりとなびかせて一回転した。ドレスの背に、漆黒の髪が踊る。回り終わると、明らかに何かを期待する顔で兄を見上げる。
「綺麗だね」
 ゼラルドは一言、それだけ言った。一瞬、いつも冷たい黒い瞳に、悲しみの色がよぎる――苛立たしげで、寂しげで・・・悲しそうな。
 王女のほうは、兄の気持ちには少しも気づいていなかった。ぷんと怒って、
「お兄さまったら。それしか言ってくださらないの。侍女たちはもっとたくさん」
「気が済んだら、もうお行き」
 無感動にゼラルドは言い、冷やかなまなざしで妹を見た。ユリアは文句を言い募ろうとしたが、相手が兄であることを思い出し、しぶしぶ返事をした。
「はい、お兄さま」
 そして、そう言いつつも、恨みがましく、
「でも、お兄さま、私つまらないわ。お兄さまは、いつもいつも、学問をしていらっしゃるか、力の研鑽をしていらっしゃるか、聖札を見ていらっしゃるかで、少しも私と遊んでくださらないんですもの」
 ゼラルドは無表情に見つめている。ユリアは黙った。
「・・・失礼しました」
 不機嫌にそう言って出て行く。ゼラルドはまたため息をついた。あの様子では、もしかして、もっと一緒に遊ぶよう命じてくれと、母親に頼みに行くかもしれない。するとゼラルドは義母から呼び出され、「血はつながらなくとも兄妹なのだから」と静かに諭される羽目になる。
 彼は頭を振ってその予想を振り払うと、中断した力の発動を再度試みた。が、一度乱れた集中は戻って来ることがなく、あきらめるしかなかったのだった。

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