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(凶宴)(02)

 国王が再婚してから一年が経っていたが、義理の娘となった王女は、まるで、それまでの生活がひっそりと不遇だったぶんを取り返すかのように、宮廷の宴を愛した。きらびやかなドレスを着て、義兄となった人と踊ることが、何より楽しいといった様子だった。王妃は娘に甘く、宴の開かれる回数はおのずと増えた。
 今夜も宴が開かれており、騎士隊長の息子のレムルスは、広間の警護についていた。彼は、すらりと長身の好青年で、騎士隊長の自慢の息子だったが、実のところ、この国の王子のことがあまり好きではなかった。また確かに、ゼラルド王子については最近、関わり合うと呪われるというような、不穏な噂ばかりが広まっていたのだ。一方、レムルスの学究肌の弟リオンは、王子に対して常に好意的だった。レムルスは、その差は一体どこから来るのだろうと考えて、この夜、注意して王子の様子に気を配っていた。
 レムルスから見れば、いくつか年下の王子は、冷淡で、高慢で、およそ人間らしい温かみとは無縁のように見えた。ちらとでも笑わない。もちろんレムルスは知らなかった、もし王子が誰かに一瞬でも微笑みかけようものなら、そしてその光景を王女に目撃されようものなら、その誰かは王女の嫉妬によって呪われ、不幸を背負うことになるのだと。
 今も、外国の貴族が王子に話しかけているが、王子のほうはあからさまに迷惑顔で、早く話を切りあげたがっている。貴族はしつこく話を続けようとし、王子は無理やり話を終わらせて背を向けた。――事件はそのときに起きた。
 レムルスは見た。貴族が胸を押さえて硬直し、床に崩れ落ちるのを。そして、異変を感じた王子が振り向き、駆け寄って、「誰か医師を!」と声を張り上げるのを。さらに、王子が次に視線を投げた方向に、王女が陶然と立って、胸の前で手を組み合わせているのを。「ユリアを自室へ!」と王子の声が続く。それから王子は、はっとしたように、まるで人には聞こえない何かを聞いているかのように宙を見つめた。
 誰かが、ぼそりと「あの貴族は王子殿下の不興を買って殺されたのだ」とつぶやくのが聞こえた。なるほど、そう見えるかもしれない。だが違う、これは王子のしたことではない・・・とレムルスは思うが、証明する手立てはない。警護係として人々を落ち着かせようと振舞いながら、レムルスは考えていた――不穏な噂の真相はこれなのか? 王子が手を下したのではない様々な事象が、王子のせいにされているのか?
 王子が、ふらふらと人ごみを抜けて来た。顔色が真っ青だ。
「王子殿下」
 声をかけると、目を上げて、
「レムルスか」
 こちらの名前を知っている。では、弟リオンの言うとおり、宮仕えの者の名はほぼ把握しているのかもしれない。
「レムルス。私は少し休みたい。自室ではなく、どこか、ユリアの探さない場所へ・・・」
 力の無い声。足元もふらついている。
 レムルスは王子を助け、広間から連れ出した。

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