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(凶宴)(03)

 人気のない裏廊下で、王子はがくりと膝をついて、ぐったりとなってしまった。
 レムルスはそれを抱えあげて、まるで自分が王子を拉致しているように見えはしまいかと心配しながら、実際には誰にも見とがめられることなく、騎士隊長の控室にたどり着いた。父は控室などほとんど使うことはない。
 長椅子にそっと王子を横たえ、そのまま落ち着かない気持ちで待機していると、半刻ばかりして王子は気がついた。体を起こして、不思議そうに、
「ここは・・・」
「騎士隊長控室です」
「そうか・・・」
 額に手を当ててうつむき、しばらく沈黙する。なぜあの子は、と、ささやくような声が漏れ聞こえた気もしたが、レムルスは礼儀正しく、聞こえないふりをした。
「・・・世話をかけたね、レムルス」
 やがて王子は立ちあがった。少し休んだためか、さきほどよりは顔色も良く、声もしっかりしている。レムルスをまっすぐに見上げて、
「助かった。ありがとう」
「もったいないお言葉です」
 レムルスは王子の前にひざまずき、忠誠の礼をとった。王子は続けて、
「欲しいものは」
「・・・はい?」
 レムルスは聞き返した。
「欲しいものは何か、言ってごらん、レムルス」
「見返りなど欲しくてお連れしたのではありません」
 レムルスは頭に血が上った。王子は気にせず、
「よい。王家の財は山とあるのだから、何でも言ってごらん」
 なんだ、結局、そういう方なのだ。と、レムルスは皮肉に思った。人が何でも金品に換算すると思っている。では、決して与えることのできないものを要求したら、この方はどうするだろう?
 レムルスはひざまずいたまま王子を見上げ、腹立ちにまかせて、たいして考えもせずに、思いついたことをそのまま口にした。
「では・・・あなたの唇を」
 王子はわずかに目を見開いた。レムルスはそれを冷ややかに見守った。「何でも」などと言うから、こんなふうに返されるのだ。さあ、どうなさるおつもりか。
 が、しばしの沈黙ののち、王子はレムルスを悲しそうに見て、こう言ったのだった。
「本気で言っているのなら・・・立って、好きにすればいい」
 レムルスは天地が入れ替わるほど驚いた。そして、突然気付いた。王子がただ、単純に「礼をしたかった」だけだということに。「何でも」とは、救ってくれたレムルスに対する信頼の言葉ではなかったのか。

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