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華飾の町(01)

「なんだか・・・とても、きれいな町ね」
 フィリシアがそうつぶやいたが、その様子はどこかいぶかしげだった。
「そうだね」
 セレンも、同意しながら神経質に長い髪をかきあげる。フルートはゼラルドを振り返り、ゼラルドは町並みを静かに眺めている。
 その町は、確かに、大変美しい町だった。家々はまっすぐな列になって立ち並び、通りの敷石はすきまなくきっちりと敷き詰めてある。
 そしてまた、驚くほど豊かな町でもあるらしかった。あちこちの家の出窓には高価な金銀の細工が所狭しと並んでいたし、通りの敷石の中には、なんと宝石らしき物が混じってさえいたのだ。
 もちろん、通りには人々の姿も見えた。美しく着飾った娘たちや、立派な身なりの紳士たちが、きれいな身ごなしで歩いている。時々、優雅に挨拶を交わし、また、楽しげに談笑している。
 が・・・それらはみな、強いて言うなら、作りものめいていたのだった。きちんと整頓された家々はみな白く塗りたてられ、ぴかぴかで、町の歴史などみじんも感じさせないし、通りで話す人々の声は一様にとりすましていて、まるで下手な劇でも演じているようだ。
 夕暮れ時だった。たそがれた光の中で、町はひどく非現実的に見える。四人は通りの端にたたずんで、しばらくこの光景を見つめていた。
「ともかく」
と、やがてフルートが言った。
「今日はこのあたりで泊まろう。いいか?」
 問いかけはゼラルドに向けられていた。
「どうぞ。あからさまに見世物扱いもされないだろう」
と、ゼラルド。
 え? とセレンはゼラルドを見て、町並みに目を戻し、
「ああ、黒い髪の人間がいないのか」
 そう言って、次の瞬間、それだけではないことを理解した。いたるところに影がのびているせいで、すぐにはわからなかったのだ。つまり、この町並みのどこにも――
「黒がない・・・?」
 辺りをあらためて眺めなおす。店の看板。民家の柵囲い。窓枠やドアノッカー。
「今頃気づくとは鈍いことだね」
 ゼラルドに呟かれて振り向いて、文句を言いたそうにしたが、フルートがさえぎった。
「行こう。もう日が暮れる」

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