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花園の夢(01)

 夕闇に、薔薇の匂いがふわりと香った、気がした。
 気のせいだ、とセレンは頭を振る。どう見ても、目の前にあるのは、とうの昔に枯れ果てた、花園のなれの果てでしかない。中には薔薇の木もあるかもしれないが、こんなふうに枯れ果ててまで香ることはないだろう。
 あずまやでもあれば夜露をしのげるのではないか、と、一行は、今は誰のものともしれない、荒れ果てた庭園の中に入って来ていた。思惑通り、大きめの朽ちかけたあずまやがあって、まだ使えそうなので、そこに宿泊することにする。めいめい、馬を石柱につないで、あずまやの中に入る。
 床の中央に、古びた封筒が一通落ちているのを、フルートがなにげなく拾い上げて開き、そのままセレンに投げて寄越した。見ると、中の手紙は古語、しかも標準語とは少し違う、どこかで滅んでしまった言葉のようだ。
 セレンは焚火の横で解読を試みた。ゼラルドが後ろから覗いたので、話しかけるともなしに、
「命令形に尊敬語の概念が混じっているような気がする。案外、ローレインの言葉とも似ているのかもしれない。行頭の花文字のかたまりは、たぶん人名か・・・」
「花文字がいつも人名とは」
「わかってる、うるさいな」
 二人はそれからもしばらく手紙を検分していたが、やがて、しんと静かになった。フルートが、
「読めたかい?」
と尋ねると、ゼラルドが無言でうなずき、セレンが複雑な表情をして、
「ああ。じゃあ、読むよ・・・。
 <白き竜>よ、扉を開きたまえ。
 <赤き獅子>よ、道に気付きたまえ。
 <金の牡鹿>よ、しるべを見分けたまえ。
 <青き竜>よ、扉を出でたまえ。
 ようこそ、百年をまどろむ花園の夢の中へ。・・・以上」
「・・・なんだって?」
 フルートと、フィリシアの表情も変わる。セレンは困惑気味に続けて、
「そのとおり。これは、ぼくたち宛の招待状なんだ」
 ――すなわち。
 <白き竜>は、竜の年、白の月生まれのゼラルドを。
 <赤き獅子>は、獅子の年、赤の月生まれのフルートを。
 <金の牡鹿>は、牡鹿の年、旧暦で金の月生まれのセレンを。
 <青き竜>は、竜の年、青の月生まれのフィリシアを。
 それぞれ指し示しているのだった――偶然とは思えなかった。
 しかも、セレンが招待状を読み上げ終えたとたん、あずまやは青い光の壁に囲まれ、旅人たちは外に出られなくなってしまったのだった。

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