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華飾の町(02)

 通りを歩いている人々のほとんどは、周りの出来事に無関心なようだったが、それでも、ゼラルドの黒髪が見慣れないものであるせいか、旅人達とすれちがう者は振り返って彼らを眺めた。
 が、それはかまわないとしても、不可解なことがひとつあった。すなわち、人々の目が、彼らに対して憎悪に近い感情を浮かべるのだ。
 旅人たちは、時々いたたまれなくなって振り向くことがあったが――セレンが一番ぴりぴりしていた――、そうすると悪意はみごとに覆い隠されて、人々の顔にはただ麗しい微笑が残るだけなのだった。
 その町の宿屋を切り盛りしているのは、粋な服を着こなして、口ひげをぴんとひねりあげた初老の紳士だった。彼は部屋の手配をしながら四人を見ていたが、今までに来た旅人の中にこんなに美しい人たちはいなかった、と言った。旅人たちのほうは、お世辞にはとことん慣れていたから、フィリシアが「ありがとう」と笑ったくらいで、特に反応を返さなかった。
「食堂で食事をいかがです」
と、宿の主は至極上機嫌に言った。何か意味ありげな光がその目をすぎる。
「久しぶりのお客さんですから、私がおごりますよ」
 つくろったように澄んだ、単調な声だった。
 かくして食事が運ばれて来、主はそれを立派なテーブルに並べ終わると、旅人たちの様子をうかがっていた。その観察が非好意的なのがわかるので、旅人たちは判断がつきかねて、しばらく手をつけずに黙っていた――ひとりを除いて。
「毒入りのスープが嫌いな人は?」
 静かにゼラルドが言った。その場の全員が彼を見る。ゼラルドは銀のスプーンでスープをかきまぜながら、淡々と、
「いない?」
「まさか」
 フルートは言いかけて、セレンに続きを取られた。
「毒が入っているのか?」
 ゼラルドは微笑した。ぞっとするほど美しい、独特の冷たい笑い方。
「さあね」
 宿の主は明らかにぎょっとした様子だった。ゼラルドはかまわずに、手をのばして一人一人の器をかきまぜ、それが済むと、何事もなかったように自分のスープを口に運んだ。
 みながやがて食事を始め、宿の主は真っ青になって、化け物でも見るようにしてゼラルドを見ていた。

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