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華飾の町(05)

 宿の主は、翌日、階下に戻ると、熱を出して寝込んでしまった。
 フィリシアが看病を引き受けて付き添った。そのうちに、妖精を統べる姫、ミルガレーテも姿を見せたので、他の者たちは主の看病をすっかり二人に任せてしまった。
 夕方頃、熱が下がり、主は正気づいた。
「お目覚めですか?」
 フィリシアは主の顔を見て微笑み、ミルガレーテは台所で熱いティル酒を入れて来ると、どこへともなく消えた。
 主はティル酒を飲むと、少し元気になった。低い声で、ぽつりと言った。
「夢を見ていました・・・さまざまな色の光が降ってきて、目の前でやわらかに渦巻いていく夢を」
 いつわらぬ声だった。昨日までのわざとらしい、とってつけたような愛想のよさは消え、けれど、こちらのほうが親しみの持てる声だった。
「若いころにはよく見た夢でね。目が覚めると、体の底から意欲が湧いてくる。どれ、ちょっとばかり」
 主はよろよろと体を起こし、広い台所の奥に行って何かを取りだした。それを、棒につけて火であぶったり、道具を使ってつまんだり引っ張ったりしていたが――
 それはまるで、手品を見ているようだった。わずか十数分ののち、主の手の上には、バラ色をしたガラスの人魚が乗っていた。優しい表情で歌を歌っている、ように見える。
「さあ、できた。どうぞ、あなたにあげましょう」
 まだあたたかい人魚を手の上に乗せてもらって、フィリシアは顔を輝かせ、礼を言って、皆に見せるために台所を駆けだしていった。

 フルートとセレンは二階の一室で、窓の外に見えるものについて話していた。窓の外に見えるもの――すなわち、この宿の周りに集まってきた人の群れについて、である。なぜそんなふうに人が集まって来たのか、よくわからない。
 開け放してあった部屋の戸からフィリシアが駆けこんできたのは、そんなときだった。
「フルート! セレン! 見て、これ! なんてきれい!」
 およそ王女らしからぬはしゃぎぶりで飛びこんできて息を切らしている。
 フルートとセレンはいったん話を止め、フィリシアが差し出した人魚を見て、たしかに感嘆せざるをえなかった。それは本当に美しいガラス細工だった。愛らしく、このうえなく繊細で、フィリシアの手の上で、みずみずしい生命を宿していた。
 フルートは、ひゅうっと口笛を吹いて、
「これを彼が?」
「ええ」
「話を聞きに行こう。先に行っていてくれ、ゼラルドを呼んで来る」

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