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華飾の町(06)

 そうして、皆が台所に集まっていた。台所は、もともと主の作業場を兼ねていたものらしい。広々として、工房の設備を備えている。
「芸術家たちの町だったのだよ、ここは」
 主は静かに話しながら、次々にガラス細工を作り続けていた。色とりどりの塊が、みるみるうちに何かの形になっていく。
「私たちは美しいものを作りだすことに誇りを持っていた。絵を描き、楽器を鳴らし、彫像を作り、そうやって暮らしていた」
 一頭の馬を生み出して、主の手は次のガラスに伸びる。
「それで満足していたはずだった・・・なのに、それが、いつのまにか・・・私たちは、自分達を、何よりも美しいものにしたくなった。完璧な美の町を作りたくなったんだ。その結果・・・」
 主は手を休め、ため息をつき、また手を動かし始めた。
「その結果・・・生み出すことを忘れてしまった。うわべを飾り立てることにのみ気を取られて、芸術の女神への敬意を忘れてしまった」
 主は深いため息をついた。宿屋の外のざわめきは、心なしか大きくなってきたようだった。
「それでも私たちは信じたのだよ。これが、自分たちの求めたものなのだと。この町は完璧に美しいと。自分たちの演じるものに、長いこと満足していたのだ」
 悲しみに沈む乙女の像を形作る。乙女の頬には小さな涙の粒。
「そこへ、あなたがたが来たのだ。町は混乱に陥った。他所者が自分たちより美しいことの衝撃。黒という色が美しかったことの驚き。豪奢にどれだけ美を装っても、装わずして美しいものには到底かなわないことを思い知らされて、町は自己満足から現実へと引き戻されてしまった。そうして・・・反発と怒りと嫉妬が芽生えた。そういうことなんだよ」
 めいめいが、それぞれの物思いに沈んだ。
「もうみんな、自分たちがなぜ怒っているのか、なぜあなたがたを憎く思うのか、理由などわからないだろう。ただ腹が立つ。ただ憎い。それだけだ」
「でも、あなたは?」
 フィリシアが言った。主は手を休めて、その青い目を見た。
「――私は幸運だった」
というのが、主の答えだった。ぐるりと一行を見渡した。
「みなさんに対して働いた愚行の数々、どうかお許しください。外に集まっている者たちが何をするつもりかはわかりませんが、いま外に出るのは危険だろうと思います。どうぞしばらくご滞在ください」

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