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  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

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命令の指輪(08)

「・・・気がついた?」
 フィリシアはベッドの中で目を開けた。部屋にはセレン一人だけが、傍らでフィリシアの手を取っていた。フィリシアを包んでいた白い光が、薄れて消えていく。
「セレン。私・・・?」
「鏡、見る?」
「・・・ええ」
 体を起こしたフィリシアに、セレンは手鏡を渡した。フィリシアは自分の白い手を見て、はっとしたようだったが、おそるおそる目を上げて鏡を覗きこみ、
「ああ!」
 常と変らない自分の顔を見て、安堵と喜びの声をあげて、セレンに抱きついた。
「良かった、私・・・」
「ぼくは、カエルのお姫様でもかまわなかったのだけれど。良かったね、フィリシア」
 セレンはフィリシアの背中をぽんぽんと叩いた。
「ああ、そうだ。それから、これを」
 取り出したのは、買ってあった白い花の髪飾り。フィリシアの髪に留めてやって、
「やっぱり、よく似合うよ」
とにっこり笑った。

 フィリシアは、自分が魔法で服従を強いられていた間のことを、少しも覚えていないようだった。自分がどこに連れ去られたかも、何を言わされたかも、自害を企てたことさえも。
 それならそれでいい、と周りは思ったし、フルートも、何があったかを教えたりはしなかった。フィリシアは、ただ悪い魔法にかけられて、そこから覚めたのだ、とだけ教えられた。
 ――ある秋の日の昼下がり。フィリシアは宿屋の台所を借りて、およそ王女に似つかわしくないジャム作りに張り切っており、成り行きを察してセレンとゼラルドが逃げ出したあと、ひとり果物の皮むきを手伝わされる羽目になったフルートが、別に苦にするでもなく黙々とティルの実の皮をむいていたとき。
 不意に、フィリシアが鍋を取り落とした。鍋はまだ空だったので、カランカランと床に転がっただけだった。
「フィリシア?」
「思い出した・・・私・・・私・・・」
 フィリシアは両の頬を押さえ、みるみるうちに耳まで真っ赤になった。
「私、あやつられて、あなたに・・・!」
 フルートは、それが例の事件のときのことだと直感したので、ひやりとして、フィリシアが再び自害など企てないように、あわてて言った。
「大丈夫、魔法で無理やり言わされたって、わかっているから。気にするな」
「ありがとう」
 フィリシアは、心底ほっとしたようだった。そして、続けて、
「相手があなたで良かったわ」
と言って、はにかんだように笑った。
 ・・・あとでセレンとゼラルドが台所を覗いてみると、そこには、無邪気にジャムの味をみている王女と、なぜか上機嫌でジャムを混ぜている王子の姿があったのだった。

(完)

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コメント


だいぶ涼しくなりましたね~。
節電の夏も終わり、ようやく秋らしくなってきましたが、
体を壊さないようにして下さいね。

りんさん、こんにちは。お久しぶりです。
前のブログは閉鎖されたのですね。
次回は感想などいただけると嬉しいです♪

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