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暖炉(04)

 暖炉の火を見ながら話し終えた老人は、旅人たちのほうに目をやって、ふと口元をゆるめた。
「お連れ様は、だいぶお疲れのようじゃの。もう休まれたほうが良かろう」
 言われて、フルートがかたわらを見ると、黒髪の若者は珍しく、うつらうつらと居眠りをしていた。あたたかい部屋で、気がゆるんだのだろうか。
 フルートは手を伸ばして、ゼラルドの肩を軽くゆすったが、起きる気配はなかった。フルートは、自分の手の中にある椀と、老人とを見比べた。
「あいにく、ぼくは薬が効きにくいたちだ。あなたの狙いは何です?」
 老人は目を見張り、首を振り、手を振った。
「めっそうもない。緊張をほぐして体をあたためる茶じゃよ。何の悪さもせん」
 フルートは老人をじっと見てから、うなずいた。口調をやわらげ、
「あなたからは悪意を感じない。薬効はともかく、信用しましょう」
「ほ、やれやれ。ところで、お連れ様のその手は、怪我をしておられるのかな」
 ゼラルドは今朝、左手の指先に傷を負って、白い布を巻いていた。他人の傷ならたちどころに治せる彼だが、自身の傷は治せない。
「わしは多少、医学の知識がある。拝見しようかの」
「いえ、けっこう。手当てはしてあります」
 フルートは断った。浅い傷であることは知っていたし、ゼラルド自身が手当てしたのだから間違いはないだろうし、何より、ゼラルドは他人に触れられるのが大嫌いだ。見知らぬ他人に傷口など触れさせたら、どれだけ怒るか見当もつかない。
「ほう、そうかね・・・。それでは、隣の部屋で休まれるといい。寝台が一つしかなくて申し訳ないが」
「あなたが休む場所を奪うわけにはいきません。ぼくたちは部屋の隅にでも置いてもらえれば」
「心配は無用じゃ。わしゃ最近、この安楽椅子の上で寝とる。隣の部屋は使っておらんよ。狭い部屋だが、好きにしておくれ」
「では、遠慮なく」
 フルートは、目覚める気配のないゼラルドを隣の部屋に運び、寝台の上に乗せた。そして、老人に挨拶をすると、自分も寝室に引っ込んで、壁にもたれて座り、剣を抱えて眠りについた。

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