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(雪)(01)

 暖かい部屋と、暖かい衣類を借り受けてはいた。が、それでもなお、異国の冬の寒さは、石壁を通り抜けて部屋の中までじわじわ滲みて来るように思われた。
 今朝はまた、昨日よりもいっそう、ことさらに寒いようだ――そう思いながら、ある朝、ディア家の客室でカーテンを開けた黒髪の若者は、
「ああ・・・」
と、思わず小さく声をあげた。窓の外には、彼が生まれて初めて見る、本物の雪が降っていた。見下ろせば、地面はすでに、すっかり白くなっている。
 しばらくの間、ゼラルドは、大粒の雪がひらひらと舞い落ちるさまを、飽かず眺めていた。だんだん心が空っぽになって来ると、思い起こされるのは故郷の人々のこと・・・。
 リオンにもこの景色を見せてやりたかった、と、彼は残して来た従者のことを思った。あの短い過酷な逃避行に、進んで付き従ってくれたリオンは、最後の最後で置き去りにされたことを、どう思っただろうか。
 そして――義妹のこと。そう・・・ユリアにも、この景色を見せてやりたい。珍しいものや美しいものが好きな義妹は、きっと無邪気に喜ぶだろう。そうして笑っているときの義妹は、嫉妬に狂った殺人鬼などではなく、ひとりの聡明で可愛らしい少女だ。果たして彼女は、ゼラルドが姿を消したことで、正気に返ってくれただろうか・・・。

 どれくらいの間、そうして雪を眺めながら物思いにふけっていただろう。ゼラルドは、廊下を走って来る足音に気付いて、我に返った。軽快な足音はまっすぐこちらに向かって来る。
 振り向いて、部屋の扉を見つめていると、トントンと形ばかりの軽いノックがあって、返答を待たずに扉が開き、ルークが姿を現した。いたずらっ子のような表情で、次の瞬間、
「えいっ」
と言いながら何かを投げて来る。一瞬のうちにゼラルドはそれが何であるかを見極めた。何か白いもの・・・雪の玉?
 よけようと思えば、いくらでもよけられたはずだが、実際には彼は、腕を上げて雪玉を受けただけだった。雪玉は、くしゃりとつぶれて床に落ちた。なぜよけなかったのかは、ゼラルド自身にもわからなかった。
 そして、ゼラルドよりもルークのほうが、そのことに驚いた。
「えっ」
 ルークは真顔で、何が起こったのか確かめるように二三度まばたきをし、それから、はじけるように楽しそうに笑った。
「はは、当たった! なあ、外で雪合戦しないか?」

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コメント

どうもこんばんは、雪村さん。またまたすいません、芝臣です。

まことに失礼ながら、「逃避行」完結後、他の方へのご返信の中で、この「雪」について言及なさっておられたのを読んで、思わず私も改めて読み返してみたのですが・・・なるほど、以前、単なる番外編として()つきの短編だったものが、あの「逃避行」がはっきりと描かれたことで、非常に意味合いが明らかになり、特にゼラルドのこの時点での真情に関する記述についても実に共感を覚えて、正直、切なくさえなりました。

うーん、そうですねえ。これは勝手なお願いなんですけど、やっぱり、リオン、ユリアについては、いつか番外編としてゼラルド亡命後の姿を描いて、なんらかの「救済」措置を取ってあげてほしい・・・ですねえ・・・(深々としたため息)。

いやあ、もちろん、上記の「お願い」は正式なリクエストでもなんでもなくて、一読者としての単なる願望ですから、作者である雪村さんとしては、別に気にせず、どうぞ思いのままにこの世界の物語を書き進めていってください。

でもまあ、いつもながら、雪村さんの各物語間の連結性には感嘆というか、つくづく驚嘆してしまいますし、物語創作者としても非常に勉強にもなっていますので、ひたすら敬服するばかりです。

ともあれ、これからもお体を大切にしながら、「雪村ワールド」をどんどん繋げ、広げていってください。・・・と、これは私の心からの期待であり、希望でもあります。

いやいや、どうも失礼いたしました。
それでは、また。

芝臣さん、
コメントありがとうございます♪

リオンや、ことにユリアの、ゼラルドがいなくなってからの日々については、機会があれば書くこともあろうかと思いますが、なかなかきっかけが無さそうな気がします…。

いつも丁寧に読んでくださって、どうもありがとうございます。
私も、芝臣さんの物語を読みに、また遊びに行きますからね~。

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