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訪問者(01)

 なぜ宝物庫などに入る気になったのか、そのときのフルート王子には、よくわからなかった。のちになって思い返してみれば、ああそうだったのかと得心が行ったけれども。
 隣国クルシュタインの王妃に親書を届け、フィリシア姫の誕生日パーティーに出席し、さらに思いがけなくも姫と友情の絆を結んで帰って来ることになった、その直後のことだ。
 まるで何かに呼ばれているかのように、宝物庫に足が向いた。中の様子など覚えてはいないのに、おのずと一番奥の壁を目指した。そして、あらかじめ知っていたかのように、そこに一振りの剣を見つけたのだった。
 その剣は、こまかな細工を施した黄金の鞘に収まって、壁に掲げられていた。同じく細工を施してある黄金の柄には、真紅の宝石が嵌まっていた。全体が金色でありながら、不思議と落ち着いて威厳あるものに見える剣だった。
 魔剣に魅入られるというのはこんな心持だろうか――と、縁起でもないことを考えながら、フルートは吸い寄せられるようにその剣を壁から下ろした。剣の長さも持ち重りも、あつらえたように、ちょうど好みに合った。
 だからこそ、鞘を払ったときの落胆は大きかった。その剣は、刀身まで金でできていたのだ。
(装飾用なのか・・・)
 金は柔らかい金属だ。刀身が金では、到底実用に耐えるとは思えない。
 それでもフルートは、一縷の望みにかけた。金のように見える別の金属でできているのかもしれない。試しに、宝物庫の壁石に、そっと切っ先を滑らせてみた。金であれば、金色の線が引かれるはずだ。
 そして、ありえないことが起きた。剣の切っ先が壁石にめりこんだのだ。まるでナイフでバターを切るかのように。
 フルートは驚いて剣を引き抜き、その刃と壁石の傷とを、まじまじと見比べた。心が決まるまでに、いくらもかからなかった。
 その年の誕生日、フルートはその剣を国王から正式に拝領した。書誌によればそれまで誰も鞘から抜くことのできなかった、古代レティカより伝わる黄金の宝剣を。

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