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訪問者(03)

 指し示されたところに倒れている人影を見て、フルートははっとした。黒い髪・・・。
 近寄ってみれば、青ざめて目を閉じているその若者は、どう見ても異国の顔立ち、異国のいでたちだった。この季節に場違いな薄物の衣服は、どういうわけか砂だらけになっているが、仕立てが良く、明らかに貴人の服だ。そして一番問題なのは、ここリーデベルク国が東方の国々に対して国交を開いていないということ・・・つまり、目の前の若者は、ここにいてはいけない、いるはずのない誰かだということなのだった。
 しかし、ともかく目の前に倒れているのだから、救助を優先すべきだ。フルートはすべての疑問を封じて、若者を抱え起こした。目立った怪我はない。水を注いだコップを口元にさしつけると、黒髪の若者は身じろぎして顔をそむけた。
「大丈夫、ただの水だ」
 フルートが言うと、若者は目を開けて、示されたコップの中身をじっと見た。神秘的な黒い瞳。そして、あてがわれたコップの水を、今度は素直に飲んだ。
「・・・ありがとう」
 初めて発した声は、力なく、かすれていたが、きれいな内陸の言葉で、フルートを安心させた――が、やはり城に連れて行くわけにはいかなかった。フルートは心を決めた。
「立てるか?」
 肩を貸して、ぐったりした若者を支えながら、傍らの心配そうなミルガレーテに、
「友人の家に連れて行きたい。あなたの力で、誰にも会わずに行くことができるだろうか」
「正しい方角と場所を思い描いていただけるなら、今と同じように一瞬で移動できます」
「ありがたい」
 フルートは行きたい場所を正しく頭の中に思い描いた。そして、ミルガレーテの魔法の力を借りて、すみやかに若者を友達の――言うまでもなくセレン・レ・ディアの――屋敷の中に運びこんだ。
 到着すると、すぐにミルガレーテは、自分は他人の目に触れるわけには行かないからと言って、姿を消した。彼女にはもっといろいろ聞きたいことがあったのだが、仕方ない。黒髪の若者はフルートに託された。フルートは、セレンを呼んで話しあい、この謎めいた訪問者に屋敷の一室をあてがって、当面の間、そこで休ませることにした。
 意識を失いかけている黒髪の若者に、フルートは、いま必要なことだけを聞いた。
「ぼくはルーク。こっちはセレン。君は? 通行証を見せてくれないか」
「通行証はない」
 青ざめた頬のまま、かすかに冷笑して、黒髪の若者は告げた。
「名はゼラルド。君たちの厚意に感謝する」
 フルートとセレンは、ゆっくり休むように言ってから、客室を出てドアを閉め、顔を見合わせた。ゼラルドといえば、東の大国ローレインの第一王子と同じ名前だ。偶然・・・なのだろうか?

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