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訪問者(04)

 内陸と、東の諸国との間に国交が開かれていないのは、主として、東方諸国の持つ不思議な力のためだ。内陸でしばしば魔法が使われるのと同じように、東方では<月の力><太陽の力>と呼ばれる術が使われている。術者はそれぞれ、<月の聖者><太陽の聖者>と呼ばれる。
 むかし、古代レティカ王国は、内陸と東方とを等しく治めて数百年の治世を誇ったが、最後は東方の反乱により滅びた。激しい戦いののち、レティカ王国は崩壊し、内陸諸国と東方諸国の間には相互不可侵の協定が結ばれて、戦は終結した。ここでいう相互不可侵とは、互いを侵さない、干渉しないというのみならず、国交を閉ざすことによってお互いの領土内に、魔法と、<月の力><太陽の力>を、各々封じ込めるということを意味している。
 内陸諸国と東方諸国は、両者の間にある中立地帯を挟むようにして、<大境界>と呼ばれる長大な二枚の壁を作り上げた。魔法と<月の力>と<太陽の力>、この三つの力によって壁を編みあげることで、常人はもちろんのこと、魔法使いも月の聖者も太陽の聖者も、通り抜け不可能な境界を実現したのだ。仮に三者が力を合わせて壁を破っても、破られた場所は監視者によってすぐに察知され、追手がかかる。定められた関所で、定められた手続きを経て、適切な通行証を持たなければ、誰ひとり通り抜けられない、それが<大境界>なのだった。
「セレン。彼が万一、本当にローレイン王家の者だとしたら、下手をすると戦争になるぞ」
「でも、本物なら一人でこんなところにいるわけがないよ。そもそも、通行証がないなら、大境界を越えていないはずだろう。ああ見えてローレイン人ではなく、大境界のこちら側にあるどこかの国の出身で、偶然名前が同じだけかもしれないよね」
 二人はセレンの部屋で話し合ったが、結局、黒髪の若者が回復するのを待つことにした。本人に聞かなければわからないことばかりだった。

 
 ゼラルドと名乗った若者は、それから三日三晩、こんこんと眠り続けた。あまりにも静かに、何の変化もなく眠っているので、セレンは、ときどき様子を見に行きながら、彼がもう目覚めないのではないかとさえ思うことがあった、が、四日目の朝。
 セレンが客室をノックしてそのままドアを開くと、ゼラルドはベッドの上で起き上がるところだった。セレンを見ると、溜息をひとつついて、
「返答ぐらい待ちたまえ」
と言って、起き直り、姿勢を正した。
 待ちたまえ、ね。セレンは胸の中で反芻した。きれいな内陸語を話しているが、命令することに慣れたものの言い方だ。セレンの服の左肩に、貴族であることを示す金色の線が縫いとられていることに、気付いていないのか、気付いていても口調を変えないのか、どちらにしても内陸の一般市民でないことは確かだ。

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