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訪問者(05)

 セレンはわざと、ローレイン語で応じた。
『これは失礼をいたしました、殿下』
 深々と一礼してみせて、柔らかな声で滑らかに続けた。
『お目覚め、重畳にございます。いま、何か召し上がるものをお持ちいたしますから、少々お待ちくださいませ。――ご帰還はいつになさいますか』
 ゼラルドのおもてが引き締まった。内陸の言葉のまま、
「ここはどこか。大境界の東か、西か」
『もちろん東でございます。ここは、白き砂漠の西の果て、大境界のすぐ手前です』
 と、セレンはローレイン語で嘘をつく。
『ウェルザリーンのお城からはだいぶ離れておりますが、何人たりとも、関所を通らずに大境界は渡れませぬゆえ。殿下もご存じでございましょう』
「そうか・・・」
 ゼラルドは肩を落とした。話す言葉はローレイン語に変わった。
『では、すぐに戻るとしよう。褒賞は追って出す。世話になった』
 ふらふらとベッドから降りて立つ。
『殿下、もう少しお休みになっていたほうが』
『いや。一刻も早く帰還しなければ、そなたらにも迷惑がかかる』
 ゼラルドは軽く手を動かした。すると、ゼラルドの立つ位置を、銀の輪が取り囲み、パッと輝いて消えた。ゼラルドは首をかしげ、もう一度手を動かした。今度は金色の炎のようなものがゼラルドを取り囲み、メラメラと燃えたって、消えた。
 ゆっくりと、ゼラルドはセレンに向き直った。底知れぬ黒い瞳がセレンの視線をとらえ、口元には冷ややかな笑みが浮かんでいた。ぞっとするほど冷たく美しい笑みだった。
『たばかったな。何を企んでいる』
 何と答えようかとセレンは迷ったが、そのとき――
 ――軽いノックの音がして、扉からルークが入って来た。
「ゼラルド! 目が覚めたのか」
 室内の光景を見るや、駆け寄って来る。ゼラルドは無表情に、
「この地方では、ノックしたら返答を待たずに入室してよいのか」
「いや。でも、三日三晩も待てるわけがないだろ」
「三日三晩?」
 ゼラルドはわずかに目を見開いて聞き返した。
「うん。外傷はなかったけれど、君は三日三晩、眠り通した。セレンから聞いていない?」
「・・・いや、何も」
「セレン、君のほうは?」
「わかったことはふたつ。ひとつめ、彼は本物の王子殿下だ。ふたつめ、彼はまだ自分のいる場所がわからない」

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