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  • (2017/12/11朝)また休日出勤などあったので、本編進んでおりません…。ふえーん…。

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訪問者(08)

 事件は、よく晴れた冬の日に起こった。
 セレンは自室で、机のそばに立っていた。扉にノックの音がして、叩き方でフルートが来たとわかった。
「どうぞ」
と言って扉のほうに向き直ると、フルートは入って来て、ひょいと何かを横によける動作をした。一瞬後、扉にはペーパーナイフが突き刺さった――突き刺さった? どこから飛んで来たのだろう?
 セレンが戸惑っていると、フルートは真顔で口を開いて、
「悪い冗談はよせ。それも投げるのか?」
 言われて初めて、セレンは自分が二本目のナイフを手に取っていることに気付いた――何をしているのだ、自分は?
 本人の意思とは無関係に、セレンはそのまま、投げる動作に入った。ナイフを持った手を後ろに引き、前へと――いいや、投げるものか!
 セレンは空いている左手で右手首をつかんで、渾身の力で止めた。拮抗する力で震える右手の向きを無理やり変えて、ナイフの先端が自分のほうを向くようにした。そのまま、ナイフを自分のほうに向けて引き寄せると、ナイフは抗いながら、少しずつ、少しずつ、セレンに近づいてくる。
「セレン! ぼくなら避けられる。投げてしまえ」
 フルートの声が聞こえたが、これはセレンのプライドの問題だ。得体のしれない術にかかって、一本投げてしまったことが屈辱だ。二度目はない。絶対に。
 急に、右手を操る力がなくなった。ナイフを引き寄せる力だけが残ったので、次の瞬間、セレンは力いっぱい自分の腹を刺していた。
「セレン! 医師が来るまで引き抜くな!」
 フルートはそう言い残して部屋の外に出て行った。誰か医師を、と叫ぶ声が聞こえる。
 フルートの足音は、そのまま走り去った。それで、遅ればせながらセレンも気づいた。セレンを操ったのは、聖者であるローレインの王子だということに。
 セレンは、刺さっているナイフはそのままに、急いで自分も部屋を出て、ゼラルドの部屋に向かった。

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