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空色のドレス(01)

「ね、出かけてくるけど、この格好、おかしくなーい?」
 宿で着替えたフィリシア姫は、青い髪を揺らして、くるりと回ってみせた。その口調も示しているように、いつものとおり、もう全く王女には見えず、旅先で胸をわくわくさせている町娘のフィア、以外の何者でもなかった。
 それにしても、このくらいの年頃の女性は、着替えたら誰かの前で回らずにいられないものなのだろうか・・・などと、妹の記憶をだぶらせてそんなことを考えながら、ゼラルドは、
「・・・問題ないと思う」
と、装飾のない返事をした。妹なら「それだけ?」と不機嫌になっただろうが、目の前にいるフィアは満足そうで、
「そう? じゃ、行ってきます。帰りに何か、食べるもの買ってくるね!」
 笑顔で手を振ると、軽やかに飛び出していったのだった。

 言葉通りに夕飯を買って帰って来たフィアは、目をきらきらと輝かせて、出かける前よりさらに興奮している様子だった。食事をしながら、さっそく話しだしたことには、
「あのね、ゼラルド。明日の夜から三日間、領主さまのお屋敷で、仮面舞踏会があるんですって。誰でも参加できるんですって! ね、私、行ってもいい?」
「・・・パートナーがいないのに?」
 踊るのが大好きなフィリシアに付き合ってくれそうな、フルートも、セレンも、今は別行動で不在だ。ゼラルドが付き添えばいいのかもしれないが、彼には彼の事情があり、人の集まるところはできるだけ避けている。
「だいじょうぶ、私ひとりで行くわ。ね、だから行ってもいい?」
 ゼラルドは少し困惑した。内陸の文化については、あまり詳しくない。
「・・・このあたりの地方では、パートナーなしで舞踏会に参加できるのかな」
「ええ。だって舞踏会で結婚相手を探したりするくらいだもの。ローレインでは違うの?」
「ああ。パートナーがいなければパーティーには参加できない」
 言いながらゼラルドは、果たして本当にそうだったのか、自信がなくなってきた。嫉妬深い妹姫がいたために、おのずとルールのほうが捻じ曲げられていた可能性もある。
 いや、ともかく今はフィアの話を検討しなければ。ゼラルドは続けて、
「だが、仮面舞踏会といったところで、身元を明かさなければ参加できないだろう?」
「いいえ、名乗らなくてもいいの。盛装さえしていれば、誰でも入れてもらえるのよ。この季節には珍しくない催しだわ」
 ゼラルドは今度こそ驚いて、
「そのような危険なことが! 本当に?」
「え? うん」
 フィアはきょとんとしている。言葉を補うように、
「そうね、王城・王都では警備も厳しいから滅多にないわ。でも、地方では普通のことよ。お屋敷が開放されて、ごちそうが振舞われて、みんなで楽しんで。ローレインでは違うの?」
「そうだね・・・」
 故郷の宴ではしばしば人死にが出たし、だから警備も厳重で、参加する者の身元は毎回厳しく確認されて・・・などと説明する気にもなれず、ゼラルドは言葉を濁し、話を元に戻して穏やかに提案した。
「では、こうしようか。君はこれから三日間、ひとりで舞踏会に出かけていい。ただし、毎晩必ず、真夜中の鐘が鳴るまでに帰ってくること。というより、真夜中の鐘が鳴り終わったら、強制的にぼくが呼び戻す。ぼくは君の様子をのぞき見たりはしない、その代わり、時間がきたら本当に問答無用で、君をこの宿泊場所まで瞬間移動させる。君のほうは、そのとき人に見られないように気をつけること。それでいいかな」
「いいわ。ありがとう」
 フィアは嬉しそうに、大きくうなずいた――。

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