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空色のドレス(03)

「赤やオレンジの服は、あまり似合わないの」
と、水底の館で夕暮れの色のドレスを見せられたとき、フィリシアは言ったものだった。ドレスを断る口実にちょうど良かったので、内心、ほっとしてもいた。
 けれども、それを聞いた侍女たちは、お互いに顔を見合わせて、抗議を始めた。
「姫さま、鏡の前にいらしてくださいな」
「お召しにならなくてもいいですから、お体に当ててみてください」
 フィリシアは、夕暮れ色のドレスが自分に似合わないことに自信があったので、言われたとおりに鏡の前に立ち、ドレスを体に当ててみせた。鏡を見て、やっぱり似合わないと思い、笑って言った。
「ほら、どう?」
 すると、侍女たちは椅子を持ってきてフィリシアを座らせ、
「失礼して、おぐしに触らせていただきますね」
というと、みんなしてフィリシアの髪に触れ、しばらく何か整えているようだったが、
「できました。ほうら、姫さま、いかがですか?」
 フィリシアは鏡の中の自分を見てびっくりした。ゆるく結いあげられた青い髪の中に、ドレスと同じ夕暮れ色をしたリボンが編みこまれて、それだけでなんだか、さっきよりもずっと、ドレスが似合って見えたからだ。
「姫さまには、赤もオレンジも、ちゃんとお似合いになりますよ」
と、侍女たちは嬉しそうに言ったものだ。

 ドレスとセットになった夕焼け色のリボンと、腕がだるくなるくらい格闘した結果、フィリシアはなんとか、あのとき見た自分の髪型を自分で再現することに成功した。出かける前にゼラルドの部屋に寄って、
「どうかしら?」
と意見を尋ねると、彼はフィリシアのオレンジ色のいでたちに少し驚いたようで、珍しいね、と言った。
「おかしいかしら?」
「さあ、ぼくにはよくわからないけれど・・・綺麗だと思うよ」
 そう言って、優しく、かすかに笑った。
 いつも何も語らないけれど、故郷の妹君のことを思い出しているのかしら、と、フィリシアは思いながら、自身も笑顔になって、「行ってきます」を告げた。

 その日、領主の舞踏会を訪れた者たちは、たくさんの娘たちが夕空色のドレスを着て踊るのを見た。なかでも、夕陽の光をそのまま織ったような見事なドレスを着た、青い髪の娘が、ひときわ人々の目を引いた。目元を隠す仮面をつけてはいたが、きのうと同じ娘だろうと、みなが噂した。
 娘が踊ると、光の加減で、ドレスは暮れなずむ群青色に変わる瞬間があり、周りの目を楽しませた。今日こそ、その娘が領主から褒美をもらうだろうと思われた。
 が、真夜中の少し前、娘は踊るのをやめて食事のテーブルのほうに行き、人に紛れて見えなくなってしまい・・・真夜中を告げる鐘が鳴ったころには、すでに会場のどこにも見つけることができなくなっていたのだった。それで、今宵もまた、別の娘が褒美を賜ることとなった。

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