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空色のドレス(04)

 三日目の朝、フィリシアはクルミを手にして、「たしか虹色のドレスは無かったわよね」と、ひとり呟いた。何色でもいいと思いながらクルミを叩くと、中からは薄紫色のドレスが出てきて、彼女は十分に満足した。
 けれども夕方、フィリシアが着替えようとすると、胸元でクルミがポコポコと跳ねた。いきなりだったので、びっくりして、きゃっと言ったが、不思議に思い、試しに三回叩いてみると、クルミの中からは神秘的な虹色をしたドレスがふわりと出現した。
「もしかして、私のために新しく作ってくれたの?」
 クルミに尋ねても答えはない。だが、それ以外には考えようがなかった。
「・・・ありがとう」
 フィリシアは、しばらく目を閉じて感謝の念を捧げてから、薄紫のドレスをクルミの中に返し、虹色のドレスに身を包んだ。昨日と同じように、おそろいのリボンを髪の毛に編みこんで。
 出かける前にゼラルドの部屋に寄ると、黒髪の若者は、少し驚いたようにフィリシアの服装を見つめて、きれいだ、と言ったが、初めて首をかしげて、
「人間のわざではないね」
と冷静に指摘した。
「そもそも、次から次へと、どこから調達しているのだろう」
 取り立てて隠す理由もないとは思ったものの、フィリシアはどきりとして、
「内緒よ。行ってきます!」
と言って、舞踏会に出かけた。

 その晩、領主の館を訪れた人たちは、たくさんの娘たちが虹色のドレスを着て踊るのを見た。中でも、虹の根元に浸して染め上げたような、この世のものとも思えない輝きの服をまとった、青い髪の娘が人々の目を引いた。目元に仮面をつけてはいたが、間違いなく、昨日も一昨日も現れた娘に違いなかった。
 今夜こそ人々は、娘が褒美を受け取るところを――仮面を取り去って名乗るところを――見たいと思った。真夜中が近付くと、娘の周りには、おのずと、見失うものかと意気込んだ人々の視線が集まった。
 娘は気付いて戸惑ったようだった。あちらを見たり、こちらを見たりして、人の隙間を探していたが、やがて意を決したように、くるりと踵を返すと、堂々と大広間からの階段を駆け下り始めた。
「お嬢さん、お待ちなさい」
と、領主本人が先頭に立って追いかけたが、真夜中の鐘が響く中、娘は一度も振り向くことなく階段を駆け下りた。
 鐘が鳴り終わる直前、娘は階段を降り切って、開け放たれた正面玄関の扉から走り出して行った。
「おーい、門を閉めろ!」
と領主は大声をあげ、それを聞きつけた門番はただちに門を閉めたが、娘の姿はどこにもなかった。誰も正面玄関からは出て来なかったし、門も通らなかった、と、門番たちは断言した。
 誰かが言った。
「あれは人間ではなかったのかもしれませんな」
「いたずら好きな精霊が、紛れこんでいたのかもしれませんね」
「精霊の訪れる家には幸運がもたらされるといいます。吉兆ではありませんか」
 それで皆は、舞踏会の最終日、誰かに褒美を与える代わりに、踊りの好きな精霊のために乾杯し、歌を歌ったのだった。

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