2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« (跳ぶ)(05) | トップページ | 作者より:(跳ぶ) »

(跳ぶ)(06)

 新年のパーティーではお互いに忙しくて、それこそ形式的な挨拶を交わしただけだったから、次にフルートと話ができたのは、雪の積もったある日、街で「ルーク」に会ったときだった。
 もう空は晴れていて、街の雪かきも終わっていて、でもまだ雪はたっぷり残っていて、いくらでも雪合戦ができそうな日。女の子たちは雪だるまや雪うさぎを作って喜んでおり、三つ編みの編み方を覚えたセレンがエリナの栗色の髪を編んでやっていると、いきなり背中に雪玉をぶつけられて・・・振り返ったら、ちょっと離れたところに、ルークが笑いながら立っていたのだ。
 セレンはエリナの髪を編み終えてから、自分も雪を拾って、ルークに投げ返した。ルークがひょいと避けて、また投げて来るから、セレンも避けて、投げ返す。どこからともなく、我も我もと子供たちが集まって来て、またたくまに、大・雪合戦になった。
 大騒ぎの中、気がつくと、ルークは敵陣ではなく、セレンのすぐ隣にいた。防壁の陰で雪玉を作りながら、こそっと何を言うかと思えば、
「セレンはさ。暮れの、あれって、緊張した?」
「当たり前だろう! 誰のせいだよ・・・」
 セレンは敵陣に向けて雪玉を放る。ルークも投げて、
「君のせいだろ。でも俺、気が付いたんだけどさ」
 自分のせい? セレンは鼻白んだが、考えてみると、なるほど否定もできないのだった。言い返すのはあきらめて、代わりに、ルークが言いかけている言葉をさらった。
「わかってる。今、先生たちにコネを作ってもらっているから。もう少し待っていて」
「え?・・・っと」
 ルークは飛んできた雪玉を避けた。
 セレンはルークのほうを見ずに、雪をかき集めながら、
「これからあちこちで顔を合わせるのに、よく知らないふりをするの、いやなんだろう」
「うん」
「ぼくが時々、君のうちに遊びに行っておけばいいんだろう」
「うん」
「本当は、特別扱いって、いやなんだけどさ。でもまあ、うちは元々が特別扱いみたいなものだし、例の儀式もあんなふうになったから。とりあえず、何をどう遊びに行くか筋道をつけるから、待っていて。たぶん・・・剣術、馬術、外国語あたりかなあ」
「げっ、外国語? 遊びじゃないだろ、それ!」
「うちも体面があるからさ、あんまりぼくが苦手な教科は外に出してくれないと思うんだよね。はい、雪玉10個」
「ああ、うん」
 ルークは気圧されたように雪玉を受け取り、全部投げて、いくつか命中させた。敵陣から、「うおっ」とか「ぎゃっ」とか「ルークのやつ、いつからあっちに行ったんだ?」とか声がする。あはは、と、ルークが楽しそうに笑う。
 こうして皆で転げ回って遊べる時間は、もうそれほど残っていないのだろうけれど・・・と、セレンは思った。最近、同い年くらいの少年たちは、「家の仕事を手伝う」ことに時間を割くようになったし、同い年くらいの少女たちは、綺麗になって、別行動することが多くなった。でも。
 皆が大人になったとき、一緒に遊んだ思い出が、どうか一人ひとりの生きる力の糧となりますように。と、セレンは願った。ぼくにとっても、ルークにとっても、街の仲間たちにとっても。そして今は、今だけは。この幸せな光景が、少しでも長く続きますように。
 セレンは考え事をやめて、自分も雪合戦に集中することにした。
 冬の日差しの下で、キラキラ白く光る雪と、大切な仲間たちと、たわむれながら。

(完)

人気ブログランキングへ

« (跳ぶ)(05) | トップページ | 作者より:(跳ぶ) »

コメント

どうもおはようございます(?)、雪村さん。芝臣です

昨夜はお邪魔できなくて申し訳ありませんでした。友人との連絡がなかなかつかず、そっちに時間をとられているうちに日付が変わってしまって「こりゃもう今日はダメだなあ」と思っちゃったもので、一応、UP時に「跳ぶ(06)」は読んではいたんです。

さて、それで改めて今朝、「跳ぶ(06)」を拝読させていただいたのですが・・・やはり、これは末尾のセレンの思索に尽きますね。もちろん、その前段階としての大・雪合戦があってこそなのですが、なんにせよ、しみじみと時の流れと清らかな記憶を感じさせて、季節は違いますが、井上陽水さんの『少年時代』が頭の中で再現されました。素晴らしい終わり方だったと思います。お見事でした。

それはそれとして、いま、短めのお話から別作品も読んでいますが、ちょうど季節的にぴったりだったのが「夏の訪れ」、お伽噺として安心して読めたのが「妖精の首飾り」、そして、タイトルのつけ方と内容が見事にマッチしていた「海辺にて」などが今、印象に残っていますね。

ただ、私自身はかなりチャンバラが大好きなので(苦笑)、そういったお話もあれば嬉しいですね。まあ、一話ずつ、気になったタイトルのお話を読んでいきたいと思っています。

今朝もご来訪、ありがとうございました。とても嬉しかったです。
今後ともよろしくお願いいたします。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
いつもコメントをありがとうございます♪
来ない日があるからって、謝らないでくださいよう。
お気持ちとご都合に合わせて、偉そうにお立ち寄りくだされば、それでいいんですからconfident

「跳ぶ」が終わりまでお気に召したようで何よりです。
ふむふむ、短いのは本編にもありますが、番外編のほうがお好きみたい、かな?
実のところ、番外編オンリーの読者の方もいて、そういうのもありなんだなーと思っています。

チャンバラは、きっと芝臣さんのほうがお上手なはず!
とはいえ、以前、読者の方から、モンスターは出ないのでしょうかとお問い合わせもあったので、
いずれはそういう戦闘色の強いものも、書いてみたいと思ってはいますけれども。

また何かお気づきの際には、お気軽にお声をかけてくださいね。
今後ともよろしくお願いいたします♪

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

遅れましたが「跳ぶ」、完結お疲れ様でした。

そうですね、こういってはなんですけど「ケチをつけるところがない」といったお話でした。というか、スムーズにストーリーに入って、終わりまでその世界に浸っていたというところでしょうか。

ところで、今のところは短編中心ですが、この作品世界に慣れてきたら長編にも挑んでみたいと思ってはいるんです。それに番外編オンリーというわけでもなくて、冒頭の「金の砂の塔」とか「赤い小鳥の姫君」とかも読ませていただいているんです。笑えたのは「勇者バックス」で、えー、セレン、いいのかー? とか思いながら読み終えて、少年時代のお話を知っている今、感慨深いものがありましたね(苦笑)。

なので、いまは乱読ですから、特に好き嫌いはないですね。

チャンバラ・・・セレンが華麗に剣を舞って、ザコがバタバタやっつけられる・・・とかいうシーンを見てみたいですねえ。まあ、確かにそれって私の領分ですけど(苦笑)。

とりあえず、こんなところですね。
夜分遅くすいませんでした。

それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村@通勤電車の中です。
コメントありがとうございます♪

セレンにチャンバラやらせるのは結構難しそうです。
本人の能力的には何の問題もないのですが、
フルートと組んでるときにはフルートがおいしい所を持ってっちゃうだろうし、
ゼラルドと組んでるときにはゼラルドが魔法戦に持ち込んじゃうだろうし、
フィリシアと二人旅なら道中の安全には万全を期してるだろうし…。
でも不可能ではないと思うので、いつか機会がありましたなら。

ちなみに、全然違う方向の話ですが、初めての実戦で人を斬り殺して吐いちゃった話なら、
セレンの気が向いたときに回想として話してくれると思います…。

パックスの話は、作者一人の胸のうちに留めておこうかと迷ったのですが、えい出しちゃえ、と出しちゃったお話。
ウケましたか。良かった良かった♪

では、駅に着いたので、このへんで失礼しますね〜。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/55263890

この記事へのトラックバック一覧です: (跳ぶ)(06):

« (跳ぶ)(05) | トップページ | 作者より:(跳ぶ) »