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(跳ぶ)(03)

 その年の暮れ近く、セレンは13才になった。リーデベルクでは、貴族の嫡子は13才で社交界に出ることが許される。その際、王と王妃に謁見し、男子であれば国王に剣を捧げ、女子であれば王妃に花束を捧げるのが習わしだ。
 新年のパーティーに参加できるようにと、セレンの謁見の儀は暮れのうちにおこなわれることになった。国で一番王家に近い家柄とあって、次期当主の人となりに興味を持つ貴族は多く、何かと忙しい時期にもかかわらず、社交界ではいろいろな噂話が咲いた。セレンの、分け隔てなく人に接する習慣はすでに広く知られており、そのことを良く言う者もあれば、悪く言う者もあった。少女と見まごう長い髪についても、愉快と言う者があれば不愉快と言う者もあった。
 もっとも、長い髪については、当然のように切ろうと思っていたのだ、セレンは。それを止めたのは、まだセレンが誕生日を迎える前に、セレンとエリナの会話に割り込んで来たルークだった。
「そろそろ、この髪、切ろうと思うんだ。国王陛下にお目通りがかなうから、その前に」
と、セレンが義理堅くエリナに話していて、
「そうなの? こんなにさらさらで綺麗なのに」
と、エリナが悲しそうな顔をしたとき、
「ばか、切るなよ!」
とルークが勢い込んで横入りして来たのだ。セレンが驚いて、
「ルーク?」
と聞き返すと、ルークははっとしたようで、きまり悪そうな顔になりながら、
「いや、見た目が変わっても、セレンはセレンだけど。でも、ほら、エリナの言うとおり、せっかく綺麗な髪なんだからさ」
「・・・? まあ、君たちがそう言うなら」
 というわけで、セレンは父親と、切れ、切らない、の押し問答をする羽目になったが、どうにか友人たちのために「切らない」という選択を貫いたのだった。

 果たして、セレンの謁見の儀の当日は、見物しようと参列を希望する貴族たちがあまりに多いため、身分の高い順に入りきるところまで謁見の間に入れてもらい、残りは次の間に控えて出待ちをするという、例を見ない盛り上がりとなった。両親とともに謁見の間に通されたセレンは、ひそひそ声の真ん中を通り過ぎながら、帰りにはこの人々すべてと言葉を交わさなければならないのかと思って、内心、少しうんざりした。怖いものなしの出身で、かつ、もともと社交的な素養を備えていた(と最近明らかになって来た)セレンでさえ、だ。
 もちろん、おくびにも表情には出さなかった。白と金を基調とした正装で、金色の長い髪を後ろで束ね、微笑をたたえて歩みゆく少年の姿は、大変美しく印象的で、後日、宮廷画家が何枚も絵に描いてくれたほどだ。
 謁見の間では、王と王妃と、フルート王子が、椅子に座って待っていた。レ・ディア夫妻がお辞儀をして左右に分かれた中を、セレンはまっすぐに進み出て、優雅にひざまずいた。国王一家に対して失礼のないよう、視線は伏せたままだったが、ちらと視界の端に映ったフルートが、自分よりも緊張しているように見えて、おやと思った。
 気のせいだろうか? いずれにしても、今のセレンに出来ることは、大過なく儀式を済ませることだけだ。それでフルートが安心してくれれば良いのだが。
「セレン・レ・ディアでございます、陛下」
 セレンは柔らかな、しかしよく通る声で、型どおりに挨拶を始めた。

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