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(幼きもの)(03)

 そうして、マシュモッシュ博士が王子の勉強部屋に通されたとき、博士が抱いた第一印象は、
(なんと美しい子供だろう!)
ということだった。
 椅子にちょこんと掛けていた王子は、案内されて入って来た博士を見ると、びっくりしたように目をぱちぱちさせたが、すぐに満面に笑みを浮かべて立ち上がり、駆け寄って来た。
「こんにちは! あなたがマシュモッシュ先生ですか? お会いできてうれしいです!」
 やや癖のある金色の髪は陽光のよう。青い瞳はきらきらと輝いていて、もともと整っている顔立ちを、より印象深く魅力的なものに見せていた。
 マシュモッシュ博士は、自分も自然と笑顔になりながら、膝をつき、目線を王子と同じ位置に合わせた。お辞儀をして、挨拶を述べる。
「こんにちは、フルート様。いかにも、私がマシュモッシュですよ。フルート様にお会いするために、はるばる南のボンダバンからやって参りました」
「わあ・・・ありがとう! すごい、すごい! 握手してもいいですか?」
「よろしいですとも。光栄です」
 人見知りもしないし、物怖じもしない、元気な男の子だ。肌の色が違うことに頓着する様子もない。黒人と会うのは、初めてではないのかな?
「フルート様は今まで、私のような黒い人にお会いになったことはありますか?」
「こんなに間近で会ったのは初めてです。うれしいです!」
と、王子はにこにこ答える。マシュモッシュ博士は、感心しながら、ちょっと意地悪してみたくなった。実は時々このいたずらで子供を泣かせてしまうこともあるのだが、王子があまりにも無邪気で好奇心旺盛だから、どうしても試してみたくなったのだ。
 博士は、しっかり握手しながら、笑顔で言ってみた。
「黒い人と握手すると、自分の手も黒くなることはご存じですか?」
 さあ、どうする?
 王子は、とくに慌てる様子もなく、ただ不思議そうに、
「そうなのですか?」
と言って、繋がったままの二人の手を見た。それから、
「ええと、どれくらい長く握手していれば、黒くなりますか?」
と言った。このように対応されたのは初めてだったが、博士は平気な顔をして続けた。
「みっつ数えるくらいです。それ、ひとーつ、ふたーつ・・・」
 しかし、王子が逃げようとする様子はみじんもない。それどころか、王子自らが、
「みっつ!」
と声をかけて、そっと手をひらいた。仕方なく、マシュモッシュ博士も、ひらいた。
「・・・黒くなっていません」
と、王子が自分の手をしげしげ眺めながら、残念そうに言った。
「そうですね。フルート様は、そういう体質なのかもしれませんね」
 マシュモッシュ博士も残念なふりをして言った。そして、どうしても不思議だったので、訊いた。
「フルート様は、ご自分の手も黒くなったほうが嬉しかったのですか?」
「いいえ」
というのが、王子の答えだった。目を上げて、マシュモッシュ博士を見て、にこりと笑った。相手を責める色は欠片もなかったが、気のせいか、その青い目に「うそつき」と言われた気がして、博士は「聡明に過ぎる」という噂の子供に意地悪しようとしたことを反省した。
「こほん」
 気を取り直して、博士は仕切りなおすことにした。
「それでは今日は、私の冒険の話をいたしましょうね」

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「幼きもの」(03)、さっそく読ませていただきました。
今回はやや気になったところがありまして、何度か読み返させていただきました。
なので、突っ込みがキツイところがあるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

まず、王宮内のこまごまとした描写をはぶいたのは正解だったと思います。重要なのはフルート王子とマシュモッシュ博士の対面なのですから、余計な描写はストーリーの流れを止めてしまいますから。


さて、問題は両者の初対面での言葉のやりとりです。
ここは「こんにちは」ではなく「はじめまして」の方がふさわしいのではないでしょうか。さらにフルートはなぜ初対面の相手に自己紹介をしなかったのでしょう。つまり、本名を名乗らなかった理由ですね。あれでは、礼儀作法として間違っていて、どんなに可愛らしく振る舞っていても礼儀知らずとのそしりを受けかねません。そうでないとすれば、何か特別な理由があるのではないかと私は想像したのですが・・・どうでしょうか。

あと、マシュモッシュ博士が黒人だとは想像していませんでした。褐色の肌、あるいはチョコレート色の肌かと思っていましたが、これは実に意欲的な設定で好感が持てました。日本においては黒人の知識人というのは漫画やアニメでも滅多に登場しないような気がするので、雪村さんの感覚は素晴らしいと思います。

それと、博士の仕掛けたイタズラですけど、フルート王子はもしかしたら本当に答えを知っていた・・・つまり手は黒くならないということを読んでいたかもしれませんね。だとすれば、かなり油断ならない子供だということになりますが・・・(笑)。

いろいろ書きましたが、今回も楽しく読ませていただきました。マシュモッシュ博士とフルート王子、この両者の今後のやりとりが実に楽しみです。

どうもお疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
いつも素早いコメントをありがとうございます♪

勉強部屋にいるときの王子殿下は、人の多い部屋にいるときより気が緩んでいます。
今回はそこでマシュモッシュ氏を見て興奮したため、礼儀作法はすっとんじゃっています。
ばったりプロ野球選手に会っちゃった7才の男の子が、「こんにちは、握手してください」と言っているのと同じで、「はじめまして」も自己紹介も言えません。
ま、一般庶民じゃないんだから、そう簡単にお作法が飛んでしまうのは、すこし驕っているかもしれませんね。
いずれにしても、礼儀知らずな振る舞いだという芝臣さんのご指摘は、それで正しいですconfident

「手が黒くなる」が嘘なのだと気付いていたかどうかについては、この先の展開で、ある程度おわかりになると思います。
いえ、本編フルートのファンの方だと、今回分を読んだだけで、根拠の部分を指さしながら答えを言えちゃうかもしれませんが、それはそれで良し、なのですwink

度々すいません、雪村さん。芝臣です。

ご回答、了解しました。

つまり、様々な要因が重なって「素の7歳の子供」のフルートがあの場にはいたというわけですね。
まあ、そう思えば、礼儀作法を云々するのも、むしろ無粋かもしれません(教育係は問題視されちゃうかもしれませんけど。苦笑)。

こちらこそ、今回はぶしつけな質問を投げかけ、大変失礼しました。
雪村さんが快くお答えくださって、安堵しております。

またいつもながら、こちらのブログにもご来訪くださり、心から感謝しております。これからもお互い協力し合いながら、ポイントを伸ばしていければいいですね。

ともあれ、今回はどうもお疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。

今回の件は、作者の意図をどこまで解説して良いのだろうかと、考えてみる良い機会になりました。
問われれば作者としての「正解」はあるわけですが、リリース後はできるだけ、読者の皆様の解釈に委ねたいという思いも強いので・・・。

「AではなくBではありませんか?」に対して、「いえ、そこはAなんです」くらいは、自分の力量不足を補う意味で、説明してもいいかなあと思いながら、前回のお返事を書かせていただきました。
ついつい語り過ぎていなければいいなあと思いますsweat01

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