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(幼きもの)(04)

 マシュモッシュ博士は、王子を椅子に掛けさせて、いつも各地で子供たちに聞かせるのと同じように、冒険の話を始めた。身振り手振りを交えて、八割くらいは本当のこと、二割くらいは楽しいホラ話。
 題材は、とりわけ子供たちに人気のある、「南の海の島々を渡って財宝を見つけた話」にした。故郷の子供たちも、異国の子供たちも、飽きずに何度でも「あの話をもう一度聞かせて」とねだる話だ。
 しかし、話し始めて十分も経たないうちに、マシュモッシュ博士は気がついた。冒険の話が好きだと聞いていたのに、王子は明らかに退屈し始めていた。口元に笑みを残しているのは、単なる社交辞令だ。足をぶらぶらさせて、視線はすっかり床に落ちてしまっている。
「・・・失礼。フルート様は、このような物語はおきらいでしたか」
「え。ああ、はい、いえ」
 王子は目を上げて、あいまいな返事をし、にこりと笑った。
「すみません、今日は少し、疲れたようです」
 なんと! それは「退出しろ」という意味ではないのか!
 自分の話術に自信を持っていたマシュモッシュ博士は仰天した。しばらく絶句してから、ようやくのことで言った。
「それでは、今日はこのあたりで終わりにして、明日はもっと、フルート様のお好きな話にいたしましょうね。海の話、砂漠の話、動物の話。どのようなお話がお好みですか」
「私は・・・」
と、王子はためらいがちに言った。何か適切な言葉を探しているようだったが、所詮は7才の子供のこと、語彙は少なかったようで、結局、こんなふうに言った。
「私はただ・・・冒険家の先生がいらっしゃるというので・・・本当にあった冒険のお話を聞きたかったのです」
「ははあ」
と、博士はうなずいたが、言われたことの意味がよくわからなかった。王子のほうも、言葉が足りなかったと思ったのか、一所懸命に続けて、
「先生のお話が、あまりにも、ええと、お上手なので・・・本当のことが分かりません」
 それはつまり、たくさんの事実にちょっぴり嘘を混ぜたことで、ふつうは嘘まで本当に聞こえるところが、王子には事実までもが嘘に聞こえた・・・という意味か?
「フルート様、正直に教えてください」
 マシュモッシュ博士は尋ねた。
「今日、殿下は、この私、マシュモッシュについて、何を学ばれましたか」
 王子は自分の小さな白い手をしげしげと眺めてから、しょんぼりと言った。
「先生のお名前がマシュモッシュだということ。お肌が黒いということ。それから、先生が私に会うために遠い南の国から来てくださったということ。・・・それだけです」

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コメント

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

フルート王子、キッツイですねー(苦笑)。

7歳でストレートに答えてしまうから、フォローのしようがない(汗)。

このあとマシュモッシュ博士の精神的安定はどうなるのか、物語ながら気になってしまいます。
まあ、ドゥーイット博士が慰めて、王子に再挑戦、ということになるのでしょうが・・・。

今回は子供のストレートさの怖さ(痛さ)を痛感したお話でした。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

子供って、子供なりに気を遣ってくれるんですけど、その結果、かえって余計にキツいこと言ったりするんですよね。
ちっちゃいフルートも、本人はせいいっぱい気を遣っているのに違いないです(sign02
まあ、彼は大人になっても、あまり気遣いは得意なほうでは・・・いえ、何でもありませんcoldsweats01

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

そろそろ自分も続きを書こうと思ったんですが・・・頭の中の文章がワードに実体化せず、焦れば焦るほど、異様な興奮状態に陥ってしまい、あれこれ苦心した挙げ句、気晴らしにこの『遥かな国の冒険譚』の作品群を読みふけっています。

個人的にはフルートよりも、やはりセレンの方が魅力を感じますし、フィリシアはこれまでのところ、充分以上にストーリー全体のヒロインとしての役割を果たしているといえます。

ゼラルドは過去のいきさつに興味がありますし、パーティはみな、魅力的だといえます。

ともあれ、近日中にこの懊悩を突き破り、私も続き(#44)を発表したいと思います。

エンディングまであともう少し。もうひと踏ん張りです!

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
気晴らしに使っていただけて光栄ですheart01

あせらない、あせらない。
コップから水があふれるように、きっとあふれて来ると思いますからwink
エンディングが近いなんて、いいなあ~。
うちはきっと、エンディングはまだまだ遠い先です。

とりあえず、パーティーメンバーの中に、「このひとキライ」な人がいなくて良かった!
ホッと一安心、です。

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