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ひとこと通信欄

  • (2017/5/11夜) 春って、あわただしく過ぎて行くものなのですね。でも、ようやく身辺が落ち着いて来たような気がします。

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(幼きもの)(05)

 申し訳ないことをした、と、退出してからマシュモッシュ博士は深く反省した。あんなに歓迎してくれた王子殿下に、あんなに残念そうな顔をさせてしまった。ドゥーイット博士もお人が悪い。あのとき「ひとつだけ気をつけるように」と言いかけたのは、嘘を混ぜるな、ということだったに違いない。もっとも、最初からそのように話を進めていたら、なるほど、これほどの衝撃は受けなかったことだろう。――ああそうか、それで、話がもたなくなったらカードを、と言われたのか。しまった、カード遊びを試してみればよかった。
 幸い、「もう来るな」とは言われていない。挽回のチャンスはある。
 翌日、また出かけて行ったマシュモッシュ博士を、王子は前の日ほど歓迎してはくれなかったが、博士は今日は、実際に体験したことしか話さないと心に決めていた。話し始めてすぐに、その効果は歴然として現れた。王子は前の日とは違い、身を乗り出し、夢中になって博士の冒険譚に耳を傾けていた。時折り、がまんしきれないように質問もした。
「本当にそのような花があるのですか?」
「その動物は何と鳴くのですか?」
「どこまで行けば見ることができますか?」
 博士に与えられた時間は1時間だったが、定められた時間はあっというまに過ぎて、王子は最後に尋ねた。
「マシュモッシュ先生は、いつまでリーデベルクに居てくださるのですか?」
「さあて。ひと月ほどは、おりますでしょうねえ」
「良かった!」
 大喜びする王子を見て、マシュモッシュ博士も安心した。
 博士のほうからも、尋ねてみることにした。
「フルート様は、今日のお話の、どのへんがお気に召しましたか?」
「ぜんぶ! ぜんぶ本当のお話だったから」
「ぜんぶ本当だと、なぜおわかりになりましたか?」
「ひとつも嘘をつかなかったもの」
「嘘をつくと、嘘だとおわかりになりますか?」
「子供にだって、そのくらい、わかります!」
 むきになったように答えてから、王子ははっとしたようだった。今度は、しゅんとして体を縮めながら、
「でも、気付かないふりをするのが礼儀なのだと教わりました。ごめんなさい。私はまだ、嘘のつきかたも、嘘のつかれかたも、よくわかっていなくて・・・」
「大丈夫でございますよ。また明日、違うお話をいたしましょうね」
「はい! 楽しみにしています」
 王子は朗らかに笑った。この美しい王子の、この笑顔のためになら、きっと多くのひとが、何だってすることだろうなあ――そう思いながら、マシュモッシュ博士は、王子の「聡明さ」と「危うさ」について、すこしだけ、分かり始めたような気がしていた。

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コメント

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

「幼きもの」(05)、さっそく読ませていただきました。

マシュモッシュ博士、名誉挽回できてよかったですねえ(笑)。

なるほど、フルート王子は嘘が嫌いで、それを敏感に察知しうる感性の持ち主だったというわけですね。

しかし、昨日と今日でえらい反応の違いですね(苦笑)。まあ、そこが子供なんでしょうけれど。
これからフルートの鋭敏さが成長と共にどう変化していくか、少年時代から青年時代の活躍を見ながら確かめてみたいものです。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
相変わらずコメント、早っ! いつもありがとうございます。
次回も、「ちっちゃくてもフルートなんだなあ」というエピソードをお届けする予定ですshine

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

なんとか、どうにか拙作『戦乙女教師・麗香 狼たちの午後』の続き(#44)が完成しました。

これも雪村さんの温かい応援(ポイントも含めて)もあったおかげです。

どうぞご覧になってくださいね。雪村さんのアドバイスに従って、麗香の女らしい一面を書いてみたつもりです。

ともあれ、今後ともよろしくお願いいたします。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
さっき拝読して来ましたが、私なんかのわがままを考慮してくださったようで恐縮です。

エンディングが近いということなので、もう一度最初から読みなおそうかと思っています。
家にいるときは、なかなかそこまで手が回らないので、読みなおしに限っては携帯になるかも。
でも、ちゃんとパソコンでもアクセスするようにしますね♪

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